洗い過ぎ塗り過ぎは逆効果?!お肌に必要なものは過剰なケアより適度なケア!皮脂膜“ 天然のクリーム”のすごさとは?!

化粧水に、乳液に、美容液に、クリームに…
毎日たっぷりのスキンケア。
なんだか変だと感じたことはありませんか?

お顔にだけ、こんなにもたくさんのお金と時間をかけているのに、
なぜかお顔だけ乾燥したり、くすんだり、荒れたり、老化の症状が見られたり。

洗顔だって、
ほとんどの方が体より高いものを使って、丁寧に洗っているはずです。

中にはピーリングやオイル、パックなど、
特別なお手入れをしている方もいるでしょう。

それなのに、体よりお顔の肌に悩みを抱えている方がほとんど。
逆に、スキンケアをしない男性や子供の方が、石けんで顔を洗ってもツッパったりしなかったりしますよね。

実は、お肌にとって、
塗り過ぎ、洗い過ぎが、諸悪の根源となっている可能性があります。
そしてその理由は、「皮脂腺から分泌される皮脂」が鍵を握っています。

今回は、その“皮脂腺”と“皮脂”について。そして「お肌に必要なものは、過剰なケアより適度なケア」である理由を、詳しくお伝えしていきます。


皮脂腺とは?

皮脂腺”は皮脂を分泌する器官で、ワックスエステル(約25%)、スクアレン(約12%)、トリグリセライド(約60%)などにより構成されています。
エクリン汗腺やエポクリン汗腺同様、真皮にあります。
皮脂腺は産毛から剛毛まで体毛1本1本に対して存在しており、よって毛包自体を持たない手の平、足の裏には必然的に皮脂腺はありません。
その数は身体の部位にもより異なり、100~1000個/㎠存在します。
頭・顔・胸・背中・手脚の順に多く存在していて、
発達した皮脂腺が多数集まった部位“脂漏部位”では400~1000個の/cm2の皮脂腺が存在しています。


皮脂膜とは?

皮脂膜とは、角層の表面(皮膚の最表面)を覆っている厚さ約0.5ミクロンの薄い油膜です。

皮脂腺から分泌される皮脂と、汗腺から分泌される汗が混ざりあってできています。
皮脂膜の約90%以上は、この皮脂に由来しています。

皮脂腺は腺細胞が皮脂を生成すると、皮脂を毛管へと押し出します。
毛包から毛をつたって表皮に出た皮脂は、汗腺から分泌される汗と混ざり合うことで乳化して“皮脂膜”を形成し、
私たちの肌表面をヴェールのように覆っています。
皮脂膜は肌や髪のうるおいを保ち、外部刺激や衝撃から肌や髪を保護してくれると同時に、
身体の各部位を病原菌から守ってくれています。

病原菌は皮脂が苦手なため、皮脂の多い場所は、少ない場所より病原菌が繁殖しにくくなっています。
しかし逆に皮脂が大好きな変わり種の微生物もいて、これが健康的な肌環境を維持する手伝いをしてくれています。
皮脂を分解して脂肪酸を放出し、皮膚のpH値を弱酸性に保ち、酸性の保護膜を維持する働きをしてくれているのです。
皮脂膜は、お肌を弱酸性に保つことで、異物や雑菌の侵入を防いでくれています。

このように皮脂膜は、[皮脂腺から分泌される油分]と[汗腺から分泌される汗由来の水]が混ざった
「うるおいの膜」になるため、「天然のクリーム」とも称されています。


皮脂の量が多くなるor少なくなる理由

皮脂の量は、気温が高くなると増加します。
皮脂は脂なので、高温では溶けやすく、低温では固まりやすい性質のため、
夏になるとよりお肌がテカってベタつく経験は誰もがありますよね。
その反対に冬は気温が低く、皮脂が分泌されにくいので皮脂膜の働きが弱まります。
肌水分を逃さないようにしてくれる皮脂膜の機能が低下すると、角質層の水分が蒸発しやすくなり乾燥していきます。

また、年齢でみると、思春期以降から20代にかけて急激に増加し、その後男女差はありますが、徐々に減少していきます。
皮脂の分泌量は、皮脂腺が発達している部位に多くなるため、最も多いのは頭皮。
次いで、額・鼻などのいわゆる「Tゾーン」です。
(※額や鼻は顔の中でも突出しており、外的刺激や衝撃を受けやすいので、 皮脂によって摩擦抵抗を少なくし衝撃を緩和させるために、皮脂の分泌が多いと言われています。)

皮脂というとニキビの原因になったりテカったり…嫌なイメージがある方も多いでしょう。
確かに分泌される皮脂が多すぎると、脂ぎった肌になってしまい毛穴に汚れなどが溜まりやすくなってしまいます。
また、皮脂が多すぎると皮脂腺を塞ぎ、にきびを引き起こす原因となる上、
常在菌として存在する微生物が皮脂を栄養源として異常繁殖することでトラブルを起こすこともあります。

しかし、逆に分泌される皮脂の量が少なすぎても、皮膚が乾燥してしまい肌や頭皮が傷つきやすくなってしまいます。
乾燥が進むと、見た目に鱗屑や亀裂が付いてかさつくだけでなく、皮膚の柔軟性がなくなり、亀裂を生じたり小じわや肌荒れを引き起こします。
そして表皮がアルカリに傾き、外界から身を守るバリア機能も低下してしまいます。
その結果、顆粒層や有棘層もダメージを受けるため、外界の刺激に耐えられない敏感肌になっていきます。

よって、皮脂は“適量の分泌”がとても重要です。
では、なぜ多くなりすぎたり、少なくなりすぎたりするのでしょう?


皮脂量が多くなるor少なくなる理由と、皮脂膜を正常に保つための3つのポイント!

■洗い過ぎの悪影響

強いクレンジング剤などを使った洗顔で皮脂膜を落とし過ぎてしまうと、乾燥の原因となります。
一般的な市販の洗顔やクレンジングなどに使われる合成界面活性剤やピーリング剤などはとても強力なので、
古い角質とともに大事な皮脂膜が除去され、皮脂膜が十分に機能しなくなっているかもしれません!

そうなると皮膚の新陳代謝は低下し、細胞分裂が弱くなり、しだいに表皮細胞が薄くなります。
表皮がさらに薄くなってしまうと、真皮もそれに伴って薄くなり、肌がテカるようになり、皮下の血管網が透けて見えて、赤ら顔になります。
皮脂膜は外からの刺激物が皮膚に侵入するのを防ぐバリアの働きもしているため、
それ落とし過ぎると皮膚のバリア機能が衰えて、刺激を受けやすくなります。
お肌がかゆくなったり、化粧水がしみたりするようになったり、
更には刺激物が皮膚に侵入しやすくなるので、発赤、発疹などの慢性的な炎症を繰り返すようになることも。
その結果、炎症をおこしやすくなり、今度は茶色く色素沈着が起こり、くすみや、シミができやすくなってしまうこともあります。
洗いすぎは諸悪の根源なのです!!

「洗い過ぎ」に気をつけましょう

●クレンジング料や洗顔料に使われている合成界面活性剤の中には、強すぎて皮脂膜を落とし過ぎてしまうものもあるので、
できるだけそういった成分が含まれていないものを選びましょう。
●時間をかけてゴシゴシ擦るのも、皮脂膜を落とし過ぎてしまう原因になります。
洗顔は皮脂が多いTゾーンにたっぷりの泡をのせて優しくなじませた後、Uゾーンにも泡をなじませ、肌に残らないようにすばやく流しましょう。
●熱いお湯は皮脂膜を落としすぎてバリア機能を低下させてしまうので、33~35℃程度のぬるま湯ですすぐのがベストです。

■塗り過ぎの悪影響

スキンケアでも「水分+油分」の乳液やクリームを使いますが、
残念ながら“皮脂膜の代わり”にはなりません。
基礎化粧品の乳液やクリームは、皮脂を再現したものでしかなく、あくまで皮脂膜の類似品なのです。
これらは、皮脂膜が担う保湿効果のほんの1~2%にしかすぎません。
残りの大半は、皮脂膜=天然のクリームが担っており、これを人工的につくることはまだできないのです。

むしろ、基礎化粧品が悪影響となっている場合もあります。
というのも、その主成分が石油から合成したものであるかもしれないからです。
合成成分は、たしかに肌に塗ると、一気に艶になったりプルプルに潤ったように見えますが、それはまったく一時的な見せかけです。
そのような合成成分は、毛穴に入り込んで皮脂腺や汗腺を詰まらせてしまいます。
そして皮脂膜が作られにくくなり、肌本来の働きであるターンオーバーをも阻害してしまいます。
その結果、保湿力の高い化粧品を使わなければ、お肌が潤わないようになってしまい、
ますます保湿力の高い基礎化粧品が手放せなくなる悪循環に陥ってしまいます。
そして当然のことながら、合成成分は老化を加速させてしまいます。

「皮脂腺の活動を抑え、脂性肌を改善する」と謳って商品を販売している化粧品もありますが、
そのようなことは不可能です。
皮脂腺は皮膚の奥深く、真皮にあります。
化粧品はそんな深くには届きません。

自分の皮脂腺から分泌された皮脂と汗から作られる皮脂膜こそが、肌にとって最高の天然クリームなのです。
広告で謳われている言葉に翻弄されることなく、正しく皮脂膜をコントロールすることが何より大切です。

●化粧水、乳液、クリーム、オイルなどの基礎化粧品をあまり多く付けすぎないようにしましょう

目元や口元、頬などのカサつきや小じわ、ちりめんジワが気になる時には、
気になる部分に乳液やクリームで油分を補うようにしましょう。
乾燥していない部分にまで必要以上にたっぷり油分を与えると、毛穴が詰まってニキビの原因になる上、皮脂腺や汗腺を詰まらせて皮脂膜が
正常に作られにくくなったり、お肌が「油分が足りてる」と判断して皮脂を出さなくなる可能性もあります。

また、何種類もの化粧品を毎日使用している場合、二つの心配があります。
一つは肌に合わない成分がふくまれる可能性が高くなったり、合成されてしまう心配です。防腐剤や界面活性剤などの成分を重ねて使用することによって、有害な量になってしまう可能性もあります。それによって慢性的な炎症やアレルギーを引き起こすと、肌に乾燥と色素沈着をもたらします。
もう一つの心配は、たくさんの化粧品をすり込む操作が、逆に皮脂膜をこすりとる操作となってしまっている場合があります。
クリームやローションなどは、使い方によって強力な洗浄剤となるのです。

ただ、何も塗らなくていい、というわけではありません。
オイリー肌な人の中にも、実は”隠れ乾燥肌”な人がいます。
肌表面は脂っぽくても、実は肌内部が乾燥しているため、当の本人も気づいていない場合もあります。
お肌は乾燥が進むと皮脂を分泌して肌内部の水分が蒸発しないように守ろうとします。
見た目の脂っぽさを気にして、1日に何度も洗顔したり、強い洗顔料やクレンジングを使っていると、
必要以上に皮脂を取ってしまい、肌内部の水分はさらに蒸発して、それを抑えようとまた皮脂が出るという悪循環に陥ります。
お肌がベタつくからといって保湿ケアを省いたりはせず、
セラミドなどの保湿成分配合の化粧品で適度に保湿はするようにしましょう。

自分の肌状態をよく観察して、必要な時必要な箇所に補ってあげることが大切です。

■食生活を改善する

糖質や脂質の多い食事は、皮脂の分泌量を増やすだけでなく、皮脂の質感がベタベタに。
皮脂線は余分な脂を排出する役割もあるため、体内で分解しきれなかった脂肪が血中に入り込み皮脂となって排出されるためです。
つまり、皮脂が過剰に出る人は、余分な脂質を体内に蓄え過ぎていると言えます。
また、糖質や脂質を摂りすぎると血液がドロドロになり、皮脂も流れにくくなって、毛穴がより詰まりやすくなるので、角栓やニキビの原因にもなります。

●脂質を取るなら、「オメガ3脂肪酸」がオススメ

青魚やエゴマ油、亜麻仁油などに含まれるオメガ3脂肪酸は、皮脂の過剰分泌を防ぎ、炎症を沈める作用があります。
ます。

●砂糖を多く含む食品やファストフードの取りすぎには気をつけましょう

糖質が多い菓子類スイーツ、脂質が多い揚げ物の過剰摂取はできるだけ避けて、野菜を中心に栄養バランスの整った食事を心がけましょう。


いかがでしたか?

繰り返しになりますが、
汗腺からの汗と、皮脂腺から分泌される皮脂が
皮膚表面の天然の乳化作用により混合され、肌を守る天然のクリームとなるのが、一番理想的な形です。
毛穴から徐々に滲み出てきては、皮膚の表面を覆い、滑らかにしてくれるのです。
天然のクリームは、市販のクリームのように一時的ではなくずっと長続きします。
そして当然ですが、お手入れがとても簡単で経済的なのは言うまでもありません。
この天然のクリームさえきちんと機能していれば、化粧品そのものは補い程度に使用すればいいのです。

ご自身の皮脂こそが、実は最高の保湿剤。
日頃のケアに、この天然のクリームを是非意識してみてはいかがでしょう♪