ミトコンドリアを活性化させて若々しく美肌に!

ミトコンドリアとは?

私たちの身体は、膨大な数の細胞でできています。
その一つ一つに「ミトコンドリア」という細胞小器官が存在しており、
その数は1細胞あたり100個から2000個程度含まれ、全身で体重の約1割を占めていると概算されています。

このミトコンドリアは、細胞を動かすエンジンの役割を果たしています。
その原料となるのは、食事から摂取した栄養、そして呼吸から得た酸素です。
これらは血液によってミトコンドリアに運ばれ、そこで栄養素(糖質と脂質)と酸素が反応して二酸化炭素と水に分解されますが、この時にATPというエネルギー源が作られます。
(呼吸で吐き出される二酸化炭素は、実はミトコンドリアが放出したものなんですよ!)

細胞の活動に必要なエネルギーの90%以上はミトコンドリアで生産され、それぞれの細胞に供給されています。
ATPは貯蔵することができないので、必要に応じて絶えず作られていて、1日に作られる量はその人の体重に相当するほど。
ミトコンドリアがしっかりと働いてくれることで、それぞれの細胞が元気よく役目を果たし、生命が維持されています。


ミトコンドリアと美容の関係

ヒトが生きていくためにはエネルギーが必要です。
例えば、見る、聞く、考える、寝る、体温を維持する、これらすべてにエネルギーを使っています。
そしてまた、身体を若々しく保ち、肌を美しくするなど、美容に対してもミトコンドリアが生み出すエネルギーを使っています。

ミトコンドリアは活力ある細胞を作り出し、肌細胞の代謝を促進しています。
そのため、ミトコンドリアはターンオーバー(新陳代謝)を正常化し、肌のハリやツヤを保つことに大きく貢献しているのです。
また、肌トラブルの原因となる老廃物を排出し、新しい肌細胞の生成を促すため、若々しい肌づくりにも大きく貢献しています。
つまり、“いかにミトコンドリアを元気に保てるか”が、美肌やアンチエイジングにおいて重要なポイントとなります。


ミトコンドリアは活性酸素を生み出すが、抗酸化酵素も生み出す

ミトコンドリアはエネルギーを作り出すだけでなく、同時に生体にとっては害となる“活性酸素”も一緒に作り出してしまいます。
ミトコンドリアでATPを作る時、酸素を使うのですが、この酸素の一部が活性酸素に変わってしまうのです。

活性酸素による酸化ストレスは、老化に深く関わります。
活性酸素が過剰に作られると細胞が傷つき、シミ、しわなどの肌老化が引き起こされたり、糖尿病、脂質異常症などといった生活習慣病が引き起こされたりしてしまうのです。

活性酸素の90%はミトコンドリアで作られています。
そしてこの発生した活性酸素はミトコンドリアそのものも傷つけ、ミトコンドリアの機能低下を招き、このことが活性酸素のさらなる発生につながりるという悪循環をもたらしてしまいます。

ですが、ここで朗報!
ミドコンドリアは、活性酸素を除去する“抗酸化酵素(SOD など)”も作り出しています。
この抗酸化酵素は、その名の通り“活性酸素を分解、無害化”してくれていて、
通常、抗酸化酵素により活性酸素の量が増えすぎないように消去・抑制され、恒常性は維持されています。

しかし、抗酸化酵素だけでは処理しきれない量の活性酸素が発生してしまった場合には、
身体のいたるところでその攻撃にさらされ、多くの細胞が傷つき、身体の酸化が進行していきます。

ならば、有益な抗酸化酵素を増やし、有害な活性酸素を減らす方策はないのでしょうか?
それには、ミトコンドリアを増加・活性化させることが、最大のポイントとなります。


ミトコンドリアを増加・活性化する方法

ミトコンドリアの働きが低下すると、細胞の活動が低下してしまい、慢性疲労やあらゆる病気を引き起こしたり、
エネルギー需要の大きい臓器に機能障害が起こりやすくなったります。

また、活性酸素の除去力も低下するため、体内で活性酸素が増え、
肌にも悪影響を及ぼすことになります。

ではどうすれば、ミトコンドリアを増加・活性化することができるのでしょうか?

ミトコンドリアは、細胞にストレスがかかってより多くのエネルギーが必要になったときに作られます
つまり、エネルギー不足になると「ミトコンドリアを増やさなければ!」と身体が判断するのです。

▪️適度な運動

たとえば、運動がその状態にあてはまります。
ウィーキングやランニングなどの有酸素運動は、ミトコンドリアを効率的に増やすことがわかっています。
ただし、有酸素運動を習慣として定期的に行わなければ、1ヶ月も経たないうちに元のミトコンドリアの体積に戻ってしまいます。
また、ミトコンドリアの体積は加齢とともに減少していきますので、永く継続的に有酸素運動を行うことが大切です。
なお、食後より食前の方がエネルギーが不足しているため、ミトコンドリアを増やすなら食前の運動が向いています。

ところで、ランニングを始めた頃は「ハアハア、ゼエゼエ」と言っていたのに、続けているうちにラクに走れるようになった経験はありませんか?
それは、トレーニングによって筋肉や心肺機能そのものが強くなっているということもありますが、最大の要因は「体内のミトコンドリアが増えたから」なんですよ!

▪️カロリー制限

カロリー制限も、運動と同様エネルギー不足と身体が判断し、ミトコンドリアが増えることがわかっています。
またカロリー制限はサーチュインという長寿遺伝子を活性化するのですが、このサーチュイン遺伝子が活性化するとミトコンドリアが増えることがわかっています。
またカロリー制限をすると、ミトコンドリアが作り出す活性酸素も減少するため、ミトコンドリアの損傷も抑えられます。
ただし、極端なカロリー制限はエネルギーの絶対量が不足してしまう可能性があるので、
食べすぎに注意して、ときには空腹の時間も無理のない範囲で行うのが良いでしょう。

▪️バランスのいい食事とコエンザイムQ10の摂取

還元型コエンザイムQ10(CoQ10)は、ATP合成の効率を高める補酵素として働いています。
いわば、ミトコンドリアが細胞を動かすエンジンだとすれば、CoQ10はエンジンの動きを円滑にするエンジンオイルのようなものです。
また、CoQ10は体内のあらゆる場所に存在し、ビタミンCなどと並んで重要な抗酸化物質の一つでもあります。
年齢を重ねるとともに体内のCoQ10量は減少するため、中高年になるほど持続的に補うことが大切です。
Q10を含むイワシ、ハマチの刺し身、豚肉、牛肉、卵、オリーブオイル、ブロッコリーを積極的に摂りましょう。

また、体内の抗酸化酵素と同じような働きをする抗酸化物質は、野菜、果物から摂ることができます。
ビタミンABCやグルタチオンなどの抗酸化物質を積極的に補い、活性酸素に対抗する抗酸化力をサポートしていきましょう。
ビタミンはニンジン、豚肉、大豆、納豆、バナナなどに含まれています。

ただ、食事やサプリメントで摂取したビタミンなどは、生命維持に必要な臓器に先に使われてしまうので、皮膚までなかなか行き届かないことが多いです。
そのため、皮膚のミトコンドリアを活性化して美肌を目指すためには、リポソームタイプのビタミンCやグルタチオンを摂るのがおすすめです。


まとめ

「ATPの合成」と「酸化ストレスの制御」という大役を果たしているミトコンドリア。
このミトコンドリアを活性化・増やすことは、まさに健康長寿に直結します。
同時に美容に対しても、若々しい肌を保つことに貢献してくれています。

ミトコンドリアは、日常生活の中で少し気を付けることで活性化、増やすことができます。
適度な運動や腹八分目、バランスの取れた食事を心がけ、元気なミトコンドリアを育てましょう!