老化は「ポリアミン」の低下から始まる?!アンチエイジングの鍵を握る「ポリアミン」とは!!

ポリアミンは、様々な生命維持活動に必要なだけでなく、近年健康の維持やアンチエイジング効果が注目されています。

ポリアミンとは?

ポリアミンは、分子のなかに「アミノ基」という構造を2つ以上持つ炭化水素の総称で、
代表的なものとしてはプトレッシン、スペルミジン、スペルミンが挙げらます。
ほぼすべての生物の細胞内に存在しており、生命活動を維持するのに欠くことのできない重要な存在です。


ポリアミンの働き

●細胞の成長

ポリアミンは細胞増殖・分化に重要な役割を果たしており、細胞分裂がさかんな組織では高濃度存在しています。
ポリアミンがなければ細胞は分裂や増殖を行うことができないため、新陳代謝を正常に行うことができません。
つまり、ポリアミンが不足すると、細胞の生まれ変わりを行うことができず、細胞は著しく老化します。

●アンチエイジング、美肌効果

上記の通り、ポリアミンは新陳代謝を促進します。
それにより、肌などの老化防止にもつながるとされています。
特に、シミやくすみは、表皮基底層で生成されたメラニン色素が表皮に残ったものであるため、新陳代謝を促進(ターンオーバーを正常化)することで、肌の透明感を向上することができます。

また、ポリアミンの重要な役割のひとつに、抗炎症作用があります。
小さな炎症が継続的に生じる慢性炎症は、老化の主要因と考えられていますが、
ポリアミンは炎症性サイトカインの過剰な分泌を抑制する作用があるため、アンチエイジングにも効果があるとされています。

●動脈硬化を予防する効果

血管内で炎症が慢性的に発生した場合、血管壁は徐々に固くなり、動脈硬化が進んでいきますが、
ポリアミンは血管の炎症を抑制する作用があるため、動脈硬化を予防する効果があるとされています。

●オートファジーの促進効果

ポリアミンの一種であるスペルミジンやスペルミンには、飢餓状態の細胞が自ら栄養素を生み出す「オートファジー」を促進させる作用があると考えられています。
「オートファジー」とは、細胞内の老廃物や有害物質、正常な組織などをすべて回収・分解し、リサイクルして新しいものに作り変えるもの。
ポリアミンはオートファジーを促進し、細胞内環境の恒常性を維持する作用があるとされています。

●細胞の生命活動

そのほかにも、ポリアミンは細胞膜の安定や細胞内シグナルの発現、タンパク質の合成、核酸保護、遺伝子発現にも関与しているといわれており、
多岐に渡る機能を有しています。

ポリアミンは非常に多くの生理機能があり、ここでその全てを伝えることはできないほどです。
あえてひとことで言うならば、『細胞を元気に保つ物質』 という表現が最適ではないでしょうか!


ポリアミンは加齢とともに減少する

ポリアミンは細胞内でつくられますが、加齢とともにその生合成能力が低下していきます。
生体の成長後(18~20歳頃)をピークに徐々に減少し、それに伴って老化は進んでいきます。
「ポリアミン生合成能力の低下が、老化のスタート」であるかのように、20代以降は人知れずひっそりと老化が始まっているのです。


ポリアミンは補える

若い時は、自らの細胞がポリアミンを生み出すため、供給する必要はありません。
しかし加齢にともない、自分の体内で作るポリアミン(内因性ポリアミン)が不足してきたら
生体外からポリアミン(外因性ポリアミン)を摂取することで補充することができます

外因性ポリアミンには、食事由来のポリアミンと、腸内細菌が産生するポリアミンがあります。
食物由来のポリアミンは摂取後その殆どが小腸上部で速やかに吸収されるため、小腸内に。
腸内細菌由来ポリアミンのほとんどは、消化管下部に存在しています。

つまり、口から摂取したポリアミンはほとんどが小腸で吸収されるため大腸に届かず、病気の発信源である大腸の老化を抑えることができません。
また、一過性であり、吸収されてしまえばそれで終わりです。
そのため、腸内細菌が産生するポリアミンの方が食事由来のものより持続性があり、腸内細菌が外因性ポリアミンの主要な供給源であるとされています。

しかしながら、腸内ポリアミン濃度は個体差が非常に大きく、
濃度が高いヒトと低いヒトで約1000倍の濃度差があると言われています。
これは腸内菌叢の差に依存しているためです。
ポリアミンを作り腸内に放出する菌もいれば、作っても自分の体内で使用する菌、さらに、腸内のポリアミンを吸収する菌もいます。

そのため、「ポリアミンを多く含む食品を摂ること」と「腸内細菌のポリアミン生合成を促進する食品を摂ること
両方で外因性ポリアミンを補うことが大切です。

1 ポリアミンを多く含む食品

食品では、納豆や醤油、味噌などの大豆発酵食品に多く含まれています。
また、きのこ類、魚介類にも含まれています。
和食を中心としたさまざまな食材をバランス良く食べると、ポリアミンを自然に摂り入れることができるでしょう。

2 腸内細菌のポリアミン生合成を促進する食品

アルギニン(アミノ酸の一種)とビフィズス菌を一緒に摂ることで、腸内のポリアミンの濃度が増えることがわかっています。

腸内細菌叢は人それぞれ違うため、すべてのヒトがポリアミンを増やせるわけではありませんでしたが、
なんとこの方法だと、個体差なくほぼすべてのヒトの腸内でポリアミンを増やすことができます。

アルギニンはうなぎやニンニク、鶏肉、赤身の肉など、「パワーの源」となる食品に多く含まれています。
ビフィズス菌LKM512は特定のヨーグルトに含まれています。
なお、アルギニン(アミノ酸の一種)とビフィズス菌の両方が含まれたヨーグルトも販売されています。

年齢により不足した場合でも、ポリアミンは食べ物などから補うことで、体内の臓器や組織へ行き届き、その効果を発揮することができます。
事実、複数のモデル生物で外因性ポリアミン供給による寿命延伸が確認され,老年病の予防・軽減効果が報告されています。


まとめ

今回は、あまり聞きなれない「ポリアミン」について説明しました。

ポリアミンは、私たちに数えきれないほどの健康増進効果をもたらしてくれています。
その効果は、動物実験において、寿命延長、記憶力増強、認知力向上、心臓機能の改善など数多く報告されています。

ポリアミン供給源は、ヒト細胞内・経口摂取・腸内細菌での生合成の3つです。
ヒト細胞内での生合成能力は加齢とともに低下するため、体内のポリアミン濃度を一定以上のレベルに保つためには、食物や腸内細菌からポリアミンを摂取するしかありません。

ポリアミンが含まれている食品を積極的に摂取する習慣は、細胞を若く保ち老化を防ぐことに繋がります。
そしてそれはもちろん、美肌にも繋がります。
人生100年時代、より元気に、より美しく過ごすため、「ポリアミン」の恩恵にあやかりましょう!!