美肌を保つキーとなる肌免疫“ランゲルハンス細胞”とは?!

皆さんは、「ランゲルハンス細胞」という細胞をご存知ですか?

少し聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、
ランゲルハンス細胞は、「肌の免疫機能の主役」とも言える、とても大切な存在です。
免疫力アップのために腸活がブームになっていますが、お肌の免疫力アップのためには
この「ランゲルハンス細胞」を決して無視はできません。

と言うと、「肌にも免疫機能があるの?」と思う方もいるかもしれませんね。

体の免疫力が低下すると風邪をひきやすくなるように、肌の免疫力が下がると肌トラブルが起こりやすくなります。
ランゲルハンス細胞は、いつも私たちの肌を見守ってくれていて、肌のホメオスタシスを保ち、みずから美しくなろうとする力を高めてくれている、
いわば、美肌のキーとも言える細胞。
ランゲルハンス細胞が常に元気であれば、皮膚の生体恒常性機能が保たれ、健康なお肌でいられるというわけなのです。

今回は、そんな肌の免疫機能=ランゲルハンス細胞
について、詳しく見ていきます。


私たちの体は何層にもなる皮膚で覆われていますが、その一番外側は表皮と呼ばれ、直接外界と接しています。
表皮全体の細胞数の約90%が角化細胞(ケラチノサイト)、
約8%が色の色素をつくるメラノサイト、
そして 2〜5%が免疫作用を持つランゲルハンス細胞などです。

ランゲルハンス細胞は骨髄で生まれ血中を介し、真皮→表皮へと移動し、
1㎟に400~1000個が表皮の上層(有棘層から顆粒層辺り)に陣を取ります。

ランゲルハンス細胞はメラノサイト(メラニン細胞)と同様、枝を伸ばしたような形の樹状細胞で、
それぞれ突起を伸ばし合って表皮で網目状のネットワークを形成するように存在しています。

この突起の先には、皮膚免疫を司る沢山のレセプター(受容体)を持っています。
一つの細胞につき約3000個のレセプターが存在していて、
外敵が侵入していないかを常に見張っています。


ランゲルハンス細胞には2つの機能があります。

指令機能

角質層をはじめとする物理的なバリア機能が何らかの要因で破壊されると、
外界から細菌やウイルスをはじめとする病原性微生物や大気汚染物質、ハウスダストなどさまざまな刺激物が侵入しやすくなります。

その際、第2のバリア機能として免疫細胞である「ランゲルハンス細胞」が発動します。
ランゲルハンス細胞は幾つもの樹状突起で、侵入者は居ないか?炎症している個所は無いか?皮膚の新陳代謝が正常に行われているか?分泌作用により皮膚は弱酸性に保たれているか?などを常に監視しています。
皮膚内に侵入してくる外敵を発見すると、遊走性の「ランゲルハンス細胞」は樹状突起を伸ばし異物を補足し、細胞内で分解処理し、
樹状突起を縮め基底膜の下まで移動してリンパ管を経由しT細胞に提示する働きを持っています。
これによって免疫細胞であるT細胞は、異物の侵入部位へと戦闘を開始するのです。

つまり、ランゲルハンス細胞が皮膚外部からの侵入物の認識し、その情報を他の免疫細胞に伝えることで、感染症にかかってしまうのを防ぐことが出来るのです。
そのため、ランゲルハンス細胞は、「皮膚の見張り隊(ガードマン)」「肌免疫の司令塔」とも言われています。

自己防衛機能

肌は外部と面しているので、常に紫外線や化学物質など様々な刺激を受けています。
そういった日常的な刺激に対する過剰な反応を速やかに鎮静化して、慢性的な炎症が起こらないように防御します。
肌に外的刺激が与えられると、肌内部に炎症などの肌トラブルを引き起こす刺激応答因子が出現します。
それを感知すると、ランゲルハンス細胞は刺激応答因子を自ら攻撃して鎮静化し、トラブルを未然に防ぎます。

ランゲルハンス細胞がこの2つの機能を果たすことによって、みずから美しくなろうとする力を高めてくれているのです。



肌免疫が下がる要因

ランゲルハンス細胞が激減する理由

そんな頼もしいランゲルハンス細胞ですが、さまざまな理由によりその働きは小さくなっていきます。

・紫外線
・精神的ストレス
・洗浄力の強い石油系合成界面活性剤
・化学合成食品の摂取
・加齢
・活性酸素
・ステロイド、薬

上記のようなダメージを受けると、ランゲルハンス細胞は増えなくなり、弱り、減少していきます。
それにより、見張り役、司令塔がいなくなった皮膚は、皮膚の生体恒常性機能が衰え、シミ、しわ、ニキビなどの肌トラブルを起こしやすくなってしまいます。


ランゲルハンス細胞の数を適正にキープする方法

①紫外線対策

まず一番大切なのは、日常の紫外線対策をしっかりすることです。
表皮の上層に存在する「ランゲルハンス細胞」は、紫外線の影響を受けやすいです。
メラノサイトから放出されたメラニンも受け取る事ができないため、紫外線によるダメージを負うリスクが高いためです。
特に中波長紫外線(UVB)の照射によってランゲルハンス細胞の機能は低下するため、日焼け止めをしっかりと塗って、紫外線を遮断しましょう。

②石油系合成界面活性剤は使用しない

石油系合成界面活性剤は、洗浄力・脱脂力および、強いタンパク質変性作用があるため、肌のバリア機能をすり抜けて、お肌を溶かし細胞を傷めてしまい、ランゲルハンス細胞も破壊されてしまいます。
そのような成分が入ったスキンケア用品は使わないようにしましょう。

③生活の中で免疫力を高める

体の免疫と皮膚の免疫は、働く細胞の名前が違うだけで基本的にはイコールです。
免疫力が下がると肌が荒れてくるように、肌は体調を映す鏡でもあります。
また肌と腸は密接に関係していて、免疫細胞が多くある腸の環境がよくなると肌免疫も安定して皮膚の状態も改善されます。
ですので、食生活は特に大切です。

栄養バランスの良い食事を摂るのはもちろんのこと、食物繊維や発酵食品も意識して摂取するようにし、腸内環境を整えましょう。
また、免疫力アップのため、質の良い睡眠や適度な運動も大切です。
そしてストレスを溜めない生活を心がけましょう。

また、笑うと免疫細胞が活性化するという研究データがあります。
できるだけ笑顔で日々を過ごせるといいですね♪


いかがでしたか?

ランゲルハンス細胞が正常に働いていれば
肌の赤みや痒み、湿疹、しみ、シワ、くすみ、たるみ、
肌老化までも防ぐことに繋がります。
そしてこの細胞は脳に繋がっているため、
ストレスを感じると肌免疫力も弱ってしまいます。
まずは大きく深呼吸して、リラックスしてみましょう♪
“ストレスは美容の大敵”“皮膚は心の鏡”とも言われます。
できるだけストレス発散するように心掛け、
その上で日焼け止めは毎日きちんと塗り、
石油系合成界面活性剤は使用しないようにするなど、
できることから少しずつ始めていきましょう。
ランゲルハンス細胞は、いつも陰ながらあなたの肌を見守ってくれています。