コラーゲンとは?!基礎知識と魅力に迫ります!

皆さん、「コラーゲン」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?
「美容に良さそう!」「健康に良さそう!」と思った方も多いのではないでしょうか。
数ある栄養素の中でも日頃から耳にする機会も多いコラーゲン。
でも、一体コラーゲンとはどんな物質?どのようなメカニズム?なぜ身体にいいのでしょうか?
意外と基本的なことを知らないまま、何となく取り入れているという人も多いと思います。
ここでは、コラーゲンに関する基礎知識を分かりやすく紹介します。
コラーゲンの特長と効果を知って、より賢く取り入れていきましょう!


コラーゲンって?美容や健康維持に必須の栄養素!

● コラーゲンの正体は?

コラーゲンとは、体を構成するタンパク質の一種です。
私たちの身体は約20%がタンパク質でできています。そのタンパク質のおよそ30%がコラーゲンです。
体重50kgであれば、約3 kgのコラーゲンが体内に存在している、ということです。

●身体のどこにコラーゲンはあるの?

コラーゲンはあらゆる組織に存在しますが、特に皮膚・骨・血管に多く含まれています。
体内における全コラーゲンの約40%は皮膚に、約10~20%は骨や軟骨に存在し、他にも血管や内臓など全身に広く分布しています。

●コラーゲンの役割は?

コラーゲンは繊維状のタンパク質で、組織や細胞を繋ぎ合わせる接着剤のような役割があり、体の形成や機能の正常化に不可欠な成分です。
コラーゲンは、体の内側から他の組織を支え、細胞や組織を結びつけ、外との境界をつくる働きをしています。
また、皮膚や腱などではコラーゲン同士が結びつくことでできる弾力に富んだ強固なコラーゲン線維が形成されています。

●コラーゲンは年齢とともに減少する

一般的に25歳をピークとし、35歳を境に減少をはじめ、40歳になるころには、ピーク時の約50%まで減ってしまいます。
コラーゲンは様々な組織内で絶えず新陳代謝を繰り返し、その量を保とうとしますが、年齢とともに新陳代謝のスピードも衰えていくため、60歳を迎えるころで約30%になってしまうようです。
また、年齢とともにコラーゲンの質が低下することも近年の研究で明らかにされています。
糖質の過剰摂取による糖化や紫外線ストレスによって発生する活性酸素によっても、コラーゲンの質は低下するといわれています。
コラーゲンの質が低下すると、コラーゲンが硬くなりすぎるため分解されにくくなり、変質したコラーゲンが増えています。
するとコラーゲンの代謝スピードが落ちて、新しいコラーゲンがつくられにくくなります。
そのため肌のハリが失われたり、骨や関節がもろくなると考えられています。
さらに血管のしなやかさが失われ、動脈硬化を引き起こします。
また、高血糖や高脂血症なども古いコラーゲンの増加が原因のひとつとして考えられています。

●コラーゲンの種類

コラーゲンは、その働きや役割によって種類が分けられます。
現在、体内には29種類のコラーゲンが確認されており、
そのうち9種類が皮膚に存在し、それぞれが重要な役割を果たしていると言われています。
発見された順にⅠ型、Ⅱ型…と名付けられており、構造や分子量によって性質が異なります。
人間の体内に特に多く存在しているのは、Ⅰ型コラーゲンとⅡ型コラーゲンです。
I型コラーゲンは皮膚や骨、腱などに最も多く含まれており、主に内側から体を支える柱のような働きをしています。
Ⅱ型コラーゲンは軟骨に多く含まれており、水分を溜め込み関節を守るクッションのような役割を担っています。
コラーゲンのタイプとしては、線維を形成するコラーゲン、膜型コラーゲン、真皮と表皮を繋ぐコラーゲン、線維の太さを調節するコラーゲン、ビーズ状線維を形成するコラーゲンがあります。
皮膚にある9種類のコラーゲンの中でもⅠ型、Ⅳ型、Ⅶ型の3つのコラーゲンは、肌のハリや弾力を保つために必ず必要なものです。
ⅣV型、Ⅶ型コラーゲンは、基底膜と呼ばれる、表皮と真皮の境に存在する膜の付近に、正しい構造で存在することがハリや弾力のある美しい肌のためにとても大切とされています。

●コラーゲンの構造とその特徴

数あるコラーゲンに共通している特徴は、三重らせん構造であるということです。
タンパク質はアミノ酸がつながってできていますが、コラーゲンの材料になるアミノ酸の長い鎖が3本寄り集まってらせん状の構造を形作ってコラーゲンになっています。
この3つ編みをしたロープのようなものがコラーゲン分子の正体です。
裁縫に使う糸も、複数の細かい糸が重なって1本の強い糸になっていますが、コラーゲンも同様に、集まることで安定した構造を作り、しっかりとした足場や構造をつくることに貢献していると言われています。
一本一本の鎖は1000個ものアミノ酸がつながってできており、分子と分子の間は様々な化合物で橋のようにらせんが簡単にほどけないようになっています。
このようにコラーゲン分子は特殊な3重のらせん構造を持ち結合力も強いので、胃や腸に存在する普通のたんぱく質分解酵素では分解されません。

■コラーゲンはどこで生まれる?

コラーゲンのほか、エラスチン、ヒアルロン酸といった肌のハリ、ツヤを支える有効成分は、線維芽細胞で生み出されています。
線維芽細胞は結合組織を構成する細胞で、全身に存在しています。
細胞と細胞の間を埋めたり、支えたりと全身で重要な働きをしており、顔では、皮膚の真皮層に存在しています。
肌が小さな傷や損傷を受けたとき、線維芽細胞が傷口へ向かいコラーゲンを補充し、肌の修復を補助します。
線維芽細胞は、美肌を維持するためには必要不可欠な存在なのです。

また、線維芽細胞のおおもと、線維芽細胞を生み出す細胞が「真皮幹細胞」です。
幹細胞はさまざまな種類の細胞に変化したり、分裂して自分のコピーをつくり出すという機能を持っています。
真皮に存在する幹細胞は線維芽細胞を生み出す役割があり、肌の美しさ、若さはすべて線維芽細胞の量にかかっていますが、
もっといえば線維芽細胞を生み出す幹細胞にかかっているのです。

しかし残念ながら年とともにコラーゲンや線維芽細胞が減っていくのと同じで、幹細胞も例外なく減ってしまいます。
そのため、年を重ねると身体のいたる場所の回復能力が遅れてしまい、肌に関していえば、シワやたるみが顔に定着してしまいます。


●肌とコラーゲンの関係性

人の皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3つで成り立っています。
表皮は、水分の保持や体温の維持など、外側から体を守る役割があり、真皮は、表皮の内側で肌のハリや弾力を保ち、維持する役割があります。
この真皮の約70%を構成している成分がコラーゲンです。

コラーゲンとともに語られることが多いヒアルロン酸エラスチンプロテオグリカンは、コラーゲンと同じく真皮に存在し、コラーゲンと直接的・間接的に相互作用しています。
コラーゲンは肌を支えハリを生み出し、
そしてそのコラーゲンをつなぎとめ、肌の弾力になる成分にエラスチンがあり、
さらには、肌の水分を保持する為に必要な成分であるヒアルロン酸やプロテオグリカンがそこに加わり、
肌の状態に大きな影響を与えています。
コラーゲンも含めこれらのどの成分が欠けたとしても、皮膚の状態は悪化してしまいます。

●骨とコラーゲンの関係性

皮膚だけでなく、骨や軟骨にもコラーゲンは存在します。
骨というと「カルシウムでできている」とイメージがあるかもしれませんが、実際には「コラーゲンの繊維にカルシウムなどのミネラル分が付着している」という構造になっています。
骨をブロック塀につかわれているような鉄筋コンクリートに例えると、外側のコンクリートに相当する部分がカルシウムで、鉄筋に相当する分がコラーゲンといえます。
鉄筋が劣化すれば、建物が崩れてしまうように、健全なコラーゲンなしに、骨を維持することはできません。
骨はコンクリート部分(カルシウムなど)と鉄筋部分(コラーゲン)が半分半分で成り立っています。
カルシウムだけだと硬い塊になってしまうところを、コラーゲンがしなやかなクッション性を骨に与えることで外部からの衝撃を和らげ、骨が傷むのから守ってくれているのです。

●血管とコラーゲンの関係性

コラーゲンはエラスチンとともに、血管をしなやかにし、血管を強化する働きがあります。
血管の中膜と外膜に存在するコラーゲンが、弾力性を保った「強く柔軟性のある血管」をつくり血流を良好に保ってくれているのです。
全ての血管がしなやかで丈夫であること、また、血液が身体のすみずみまでめぐっていることが、身体全体の健康へとつながっていきます。

また、血管を強化したり血流を改善することで、体内のコラーゲンを作る力が高まります。
上記でお伝えした通り、コラーゲンは、真皮の線維芽細胞から生み出されます。
毛細血管が弱くなるほど、コラーゲンを産生する線維芽細胞の生みの親である真皮幹細胞も維持しにくくなります。
元気なコラーゲンの産生を高めるには、毛細血管・リンパ管を強化し血流を改善、ひいては真皮幹細胞の存在しやすい環境をつくる、という良好な体内サイクルをキープすることが大切なのです。

 

上記で紹介した他にも、
目の水晶体や角膜に含まれるコラーゲンが目の健康を保ち、爪や髪、歯茎や傷の修復にもコラーゲンが関わるなど、体のあらゆる場所でコラーゲンの存在は重要な役割を果たしています。


コラーゲンをつくり出すのにタンパク質とビタミンCと鉄が必要

コラーゲンは、タンパク質(アミノ酸)にビタミンCと鉄が働きかけてつくられます。
タンパク質とビタミンC、鉄を十分に摂り続けることが、美しい素肌や丈夫な骨を作る第一歩です。

コラーゲン繊維を作るのにビタミンCが必要

ビタミンCの主な作用として、特定の酵素を助ける「補酵素」としての作用があります。
ビタミンCは特に、コラーゲンを合成するための酵素の働きを助けます。
コラーゲン繊維は三重らせん構造を形成した後、成熟コラーゲンになりますが、ビタミンCは、三重らせん構造を作る酵素の働きを助けているのです。

コラーゲン繊維を作るのに鉄が必要

補因子としては、鉄も必要とされます。
コラーゲンはアミノ酸とビタミンCを材料に、鉄分のサポートを受けて合成されてできるため、体内に十分な鉄分を保持しておくことで、効果的にコラーゲンを合成することができます。

●コラーゲンを多く含む食品は?

コラーゲンを豊富に含む食品は、「動物性食品」と「海洋性食品」があります。

・動物性食品
鶏手羽、鶏ガラ、砂肝、豚足、豚耳、牛すじ、豚モツ 、鶏の皮、手羽先、軟骨、豚バラ肉

・海洋性食品
フカヒレ、えび、かれい、魚介、魚の皮、うなぎ、なまこ、クラゲ、すっぽん・スッポン、カレイ

ただし注意したいのは、コラーゲンを豊富に含む食品には高カロリーのものが多いということ。
これらの食品を一度にたくさん食べることは、栄養バランスを乱すことにつながるので、あまりおすすめできません。

■コラーゲンはいつ摂ったらいい?

夜22時~2時は、細胞の生まれ変わりなどの活動が盛んに行われるシンデレラタイムと言われています。
成長ホルモンを効率よく分泌させるためにも、就寝前に飲むことが良いとされています。
しかし、コラーゲンを摂ると決めたら、「継続」することが最も大切です。
「寝る前では飲み忘れてしまう」「飲みにくくて続けられない」というのであれば、飲みやすい時間を選んでもかまいません。
毎日無理なく続けるために、自身で飲むタイミングを決めておくと良いですね。

■コラーゲンとゼラチン、ぺプチドの違い

コラーゲンは分子量が多く、しかも三重らせんが強く結束しているので、そのままではなかなか消化・吸収できません。
食べて消化・吸収し、効果を得るには、三重らせんを分解して低分子にする必要があります。
そこで消化吸収しやすいように、コラーゲンを加熱して抽出・精製したものが「ゼラチン」です。
ゼラチンは水には溶けにくいですが、温水にはよく溶けます。その溶けたものが冷えると、ゼリーのようにぷるぷるのゲル状になります。
コラーゲンの分子量は約30万~36万ですが、これを加熱分解したゼラチンの分子量は10万程度になります。
そしてさらに消化吸収しやすいように、ゼラチンを細かく酵素分解したのが“コラーゲンペプチド”です。
数百~数千の分子量になるため、水に溶けて食べやすく、カラダへの吸収性も高くなっています。

これまでは「コラーゲンを摂ってもバラバラのアミノ酸に分解されて体に吸収されるため、わざわざコラーゲンだけで食べなくとも、普通にタンパク質を食べていれば良い」と考えられていました。
その為、コラーゲンを積極的に摂る意味はないと考える専門家や学者がいました。
しかし、最近の研究結果でコラーゲンの一部はアミノ酸に分解されずに、コラーゲンペプチドとして腸で吸収されるということがわかってきました。
腸で吸収されたコラーゲンペプチドは、血液にのって必要なところに届くことが報告されています。
つまり、摂取したコラーゲン自体が直接コラーゲンとして吸収・利用されることはありませんが、分解過程に生じるコラーゲンペプチドによって、体内のコラーゲン量が増やされることは期待できると言われています。

コラーゲンペプチドの有効成分は、24時間経つと血中からなくなってしまうことが分かっています。
毎日継続して補わなければ、コラーゲン量が減少していきます。

■サプリメントでの摂取

今や「コラーゲン入り」の食品は数多く市販されていますが、
一般的に「コラーゲン」と表記されているものは、上記の「コラーゲンペプチド」を指すことが多いです。

効果的なコラーゲンの摂取方法として、サプリメントを使うことが挙げられます。
サプリメントを摂取するときのポイントは、毎日少量ずつ継続して摂るようにしてください。
過剰に摂取すると、排出されなかった余分なアミノ酸はやがて脂肪になり、皮膚にセルライトが出来る原因になると言われています。
また、コラーゲンはたんぱく質の一種なので、過剰分を遥かに上回っている場合は腎臓に負担が掛かります。
またコラーゲンドリンクやコラーゲンサプリメントに含まれる糖分や添加物が吹き出物やニキビの原因となる場合もあります。
美肌のために摂ったコラーゲンが原因で、肌のトラブルを引き起こしてしまっては、せっかく摂った美容成分が台無しです。
摂りすぎには注意しましょう。


■化粧品としてのコラーゲン

化粧品に配合されるコラーゲンは分子量が大きいため、たとえコラーゲンを肌に直接塗ったとしても、肌の内側に浸透することはありません。
肌内部にあるコラーゲンと化粧品に配合されているコラーゲンは、実は別物です。
化粧品に配合されているコラーゲンは、肌のうるおいを保つための「保湿成分」に分類されます。
角層のうるおいをしっかり保持し肌を整える役割をしています。

■まとめ

コラーゲンはタンパク質の一種で、美容や健康に欠かせない成分であることをご紹介しました。
コラーゲンを含めたインナーケアは、身体の内側からアプローチすることが大切です。
栄養不足だけでなく紫外線、ストレスもお肌の敵!
美容と健康のためにお肌表面上のケアだけでなく、全身のコンディションを整えることを意識し、
コラーゲンだけに限らず栄養バランスのとれた食事や適度な運動、十分な睡眠など、生活全般の質を向上させましょう!