決め手は味噌選び!酵素や酵母菌が生きた味噌を選びましょう!

スーパーにずらりと並ぶ味噌。
あなたが味噌を選ぶとき、その決め手となるものは何ですか?
値段? 味? 産地?
「無添加」と書いてあれば体に良さそうな感じがしますよね。
「酵母菌が生きているお味噌!」
と答える方は、どれぐらいいらっしゃるでしょうか?

現在、いろいろな味噌が販売されています。
無添加とかかれた味噌からカップ味噌汁、だし入り味噌、チューブ入りのものまで形や色も様々。
そんな多様な味噌ですが、その味噌の中身は果たしてすべて同じものなのでしょうか?
今回は、様々な種類の中から、“麹が生きている”体にいい味噌を見分ける方法についてご紹介します。
せっかく食べるならよりおいしくてより体にいいものを選びましょう!


味噌は何からできている?

まずは味噌が、何からできているかご存知ですか?
味噌は、大豆から作られています。
「麹」の部分は、米味噌なら米麹、麦味噌なら麦麹、豆味噌なら豆麹と分類されていて、国内で生産されている8割が米味噌になります。
スーパーでよく見かけるのも米味噌が多いですね。

味噌は全国各地で1700以上もの種類があると言われています。
味噌の味は、材料の割合や発酵環境、塩分などさまざまな要素が複雑に混ざって決まります。
原材料を見て、『大豆』と『米、麦、豆』のどちらが先に表示されているかを確認したことはありますか?
原材料の表示は、配合量の多いものから並んでいます。
一般的に、麹の割合が大きいほど発酵・熟成がうながされコクや甘みを感じられるため、甘めの味噌が好きな人は、米や麦が原材料のはじめに記載されているのを選ぶと良いですね。
パッケージに「糀歩合」が記載されているものもあるので、味噌を選ぶ判断材料にしてみるのも良いでしょう。

しかし、この3つを混ぜるだけでは
あのねっとりした感触の味噌はできません。
ラベルには表示されていませんが
実は「あるたち」の活躍によって、味噌は生まれるのです!


味噌づくりに欠かせない「麹」。
麹は日本独特の発酵菌として知られていて、味噌以外にも醤油や日本酒など、様々な食品を作りだすときにも活躍します。

味噌に含まれる麹は、実はカビ菌の一種。もちろん、食品として食べることができる安全な菌です。

熟成中の味噌の中では、麹菌によってアミラーゼやプロテアーゼと呼ばれる酵素ができることにより、
味噌の原料である米のデンプンやたんぱく質などが分解され、ぶどう糖や、アミノ酸、脂肪酸が生まれます。
この現象を「発酵」と言います。
ぶどう糖は味噌の甘みの素となり、アミノ酸は旨みの素、脂肪酸は香りの素となります。

次に活躍するのが、乳酸菌酵母といった発酵菌
味噌の発酵過程で生成したぶどう糖は乳酸菌や酵母の餌となります。
乳酸菌は活動するときに乳酸を生みますが、この乳酸は味噌独特の大豆のにおいを消す役割があります。
さらに酵母によって、アミノ酸からアルコールが生成、このアルコールが味噌の香りの元となります。
このように味噌を作るためには麹菌、乳酸菌、酵母といった一連の菌の働きが、味噌の味わいや香りなどに大きく影響しています。


味噌を選ぶポイント!

「無添加」を選びましょう

先ほど味噌の材料は、大豆、麹、大豆、塩と書かせていただきましたが、
つまりは、原材料欄にそれ以外のものが書かれている場合は「添加物」である可能性が高く、原材料が多いほど添加物は多くなります。
原材料が、「大豆、米(麹)、塩」だけの味噌は、添加物が入っていない良い味噌です。
味噌のパッケージの原材料欄を見て、できるだけシンプルなものを選びましょう。

味噌に使われる添加物

添加物はなんのためにつかわれるのでしょうか?
味噌によく使われている添加物は、調味料(アミノ酸など)、ビタミンB2、酒精(エチルアルコール)、保存料(ソルビン酸など)です。

■『調味料(アミノ酸等)』

人口のうまみ成分で、味を良くするために加えらています。
長時間の熟成を経ている味噌であれば味噌本来の奥深い旨味がありますが、
人工的に短時間で仕上げられた、うまみが足りないお味噌にはこのような人工的な旨味成分が加えられ、消費者の舌を満足させます。
また、「酵母エキス」(※添加物でないが気になる原材料)も同じ理由で加えられていることがあります。
このようなエキス類は加工段階で精製されているため、キャリーオーバーで他の化学物質が使用されていても表示義務がないため、避けていた方が無難と言われています。

⚫︎だし入り味噌は大丈夫?!
昨今よく目にする「だし入りみそ」。
便利で・簡単で・安くて・美味しいものではありますが、たくさんの添加物が使われています。
また、「だし入りみそ」は、みその酵素がいきていると、加えただし等の調味料の旨みを分解してしまい、だしを入れた意味がなくなってしまいます。
そこで、酵素の働きをなくすために加熱処理をします。
加熱するので、本来みそ中で生きている菌も死んでしまった状態になっています。
しかし、酵母や酵素のない味噌に仕立ててしまう「加熱処理」に関しては、パッケージへの表示義務はないため、消費者は売り場に並ぶ商品を一瞥して、それを判断することはできません。

■『ビタミンB2』

栄養のためではなく、発色をよくするために使われることがあります。
昔は食品の漂白に使う次亜硫酸ナトリウムというものがつかわれることもあったようです。

■『酒精(エチルアルコール)』

酒精は、味噌の発酵を止めて味を一定に保つ役割があります。
流通段階や購入後に味が変わってしまうことを抑えるために使われます。
味噌は麹が生きているため、発酵が進むと味が変化します。
それに加え発酵が進むと炭酸ガスが発生し容器が膨らんできてしまうのでそれを防ぐ役目もしています。
麹菌の恩恵を受けたく、日々の食生活に味噌を取り入れる方も多いと思いますが、酒精によって菌が死んしまった味噌では麹菌の腸内でも活動も抑えられてしまいます。

(※酒精(アルコール)に関しては評価が業界でも意見が分かれています。今回は「生」にこだわっているため、ここ書かせていただきました。)

■ソルビン酸(保存料)

最近は少なくなりましたが、保存料が添加されている場合もあります。
こちらも麹菌の活動を抑えて、過発酵を防ぐために用いられています。
これら添加物の多くは麹菌の活動を抑えることで保存や見た目をよくすることが目的で入れられています。


「菌が生きている」味噌を選びましょう!

ではそういった添加物の入っていない、麹(米、麦、豆)、大豆、塩、のみで作られたものは“生きた麹の味噌”なんでしょうか?
実はもうひとつポイントがあります。

「無添加」とは食品添加物が入っていないことを表す言葉ですので、「加熱殺菌の有無」には関係ありません。
したがって、パッケージに「無添加味噌」と表示されていても、『加熱殺菌』されているみそは、麹は生きてはいません。

味噌が栄養と味に加え、体調を整えたり病気を予防する機能を持つ「機能性食品」と呼ばれたり、食材の旨みを引き出す「みそ漬け」をつくることができるのは、すべて味噌に含まれる、生きた「酵素による分解」「酵母による発酵」の働きによるものです。
しかし、残念ながら現在市場に出回るみそは、酵母の過発酵によるパッケージの膨張や破裂を防ぐため、出荷前に加熱処理などによって酵母菌が殺菌されている味噌が多くなっています。

見分ける確実は方法は、
『味噌のパックの蓋のところに呼吸口がついているかどうか』です。
生きた味噌には麹の呼吸のため、そしてパックの膨張を避けるために、“呼吸口”というものがあけられています。
もし、“麹の生きた”お味噌が食べたいという場合は、パッケージに空気穴、通気口があいているものを選びましょう。
熱殺菌で酵素が壊れれば、豚肉を漬けても軟らかくなりませんし、タンパク質がアミノ酸に変わらず、うまみが増すこともありません。
市販の味噌は無添加であってもフタに空気穴が開いていない味噌は加熱処理されている可能性が高いので、空気穴の有無の確認が大切です。
呼吸口はフタ上部の分かりやすい位置についていますから、探すのは容易です。
せっかく味噌を選ぶのであれば、酵素や酵母が生きた味噌を選びたいですよね!

(※蔵元から直接買う場合にはパッケージに空気穴が開いていないこともあります。

「生味噌」と表示されている味噌は加熱殺菌されていないので、「生」表記の有無を確認するのも手です。)


「国産大豆100%」を選びましょう

さらにこだわるなら、「国産大豆100%使用」と書いてあるものを選びましょう。
原材料が国産100%の味噌は、企業もアピールしたいポイントなので、味噌のラベルに「国産大豆100%」などと書いてあることが多いです。
「国産大豆使用」と書いてあるものをよく見かけますが、これは海外産も含まれている可能性があります。
日本の味噌は、何と90%以上が輸入大豆。
そして海外産の大豆のほとんどが遺伝子組み換え大豆です。
各材料の出所も分かると安心ですね。


「天然醸造」の味噌を選びましょう

酵母菌が生きている味噌を見分ける方法として、「天然醸造」(長期熟成)と書かれているかどうかを確認するのも手です。

味噌には「天然醸造」味噌と「速醸」味噌、2種類の製法があります。

天然醸造味噌は自然の成り行きによって完成される、文字通りの「天然醸造」。
1年~3年自然の温度変化のまま寝かせて作られます。天然醸造の味噌は、麹菌の力が存分に活きていて、旨味もたっぷりです。

速醸味噌は人為的に発酵を促進し短期間に作られるため、味も香りも薄く添加物で味付けされます。
速醸によって2~3カ月で味噌が出来るようになり、価格の安い味噌が多く販売されるようになりました。
殺菌されているものが多く、速醸味噌は酵母菌が死んでいるものがほとんどです。

市場にでている味噌のほとんどは速醸法です。
価格はかなり高くなりますが、味噌にこだわりたいなら「天然醸造」の味噌がおすすめです!


「冷蔵保存」の味噌を選びましょう

菌が生きている味噌は、常温保存では菌が活発に働いてしまうため、発酵を遅らせるため冷蔵保存が必要になります。
「冷蔵保存」と書かれていることも、生味噌である事の一つの目印となります。


「生」味噌を選びましょう

菌が生きた味噌を選ぶもう一つの見分け方は、「生」の記載がある味噌です。
みその表示に関する公正競争規約によると、「生」と記載できる条件は以下の通りです。

・出荷のための容器包装作業の前後において加熱殺菌処理を施さないものに限り、表示することができる。

つまり、「生」の記載がある味噌は、加熱殺菌されていない酵母菌が生きたままの味噌ということです。

ちなみに、インスタント味噌汁の表記で見かける“生みそ”は
粉末みそに対して生みそと言うタイプの種類であって、菌は生きていません。



調理時のポイント

■沸騰させない

味噌の乳酸菌は50℃以上、酵母は70℃で死滅してしまいます。
従って、味噌汁にするならば、必ず火を止めてから味噌を溶かすことが大切です。
味噌を入れてから煮立ててしまうと、風味がなくなるのはもちろんのこと、せっかくの菌も死んでしまいます。
火を止めてから10分ほどおいて、温度が50℃ぐらいまで下がったところで味噌を溶くとのが乳酸菌も酵母も生きた状態で味噌汁を食べることができます。

味噌を生のまま美味しく食べるには
野菜スティックにつけて食べるのもおススメです。
酢味噌や味噌ダレを作り
サラダにかけてもいいですね。

■だしは「無添加のだしパック」を使う手も

無添加の味噌でお味噌汁を作ると、だし入り味噌で作ったものと比べて当然ですが味が薄くなることがあります。
だしは昆布と煮干しを入れるだけなので簡単ですが、それも面倒な場合は無添加のだしパックを活用するといいですよ。
いずれにせよ、食品添加物のたくさん入っただし入り味噌を買うのはやめておきましょう!


スーパーで実践できる!体に良くて美味しい味噌の見分け方「まとめ」

* 原材料は無添加:「大豆・米(麦)・塩」のようなシンプルもの
* 添加物が含まれていない、無添加のもの
* 容器に小さな穴(呼吸口)がついている、発酵によってできた炭酸ガスを逃がすためのものがついているもの
* 天然醸造・長期熟成されたもの
* 低温冷蔵で保管・販売されているもの、
* 生味噌と表記しているもの(あくまでも見分ける目安)
* 国産大豆100%のもの
* 酒精やアルコールを使っていないもの
* だし入りではないもの
* 出荷の際に加熱処理やアルコール処理していないもの

以上が、体に良い味噌です。
全部を完璧に守るのは難しくても、まずはどれか一つでいいので意識してみると良いでしょう。
味噌に含まれる菌は腸内環境をよくしてくれます。良い味噌を選んで健康な体を作りたいですね!


現在非常に多くの味噌が販売されていて、普段何気無く選んでいる人も多いのではないでしょうか?
もっとおいしくて、もっと体に良い味噌があるなら、ぜひ試してみたいですよね!

年単位の長い熟成期間を経ている味噌ほど、生産量も限られてしまうため、その分値段が高くなっているものが多いです。
ですが、ここで気をつけていただきたいのが、値段の高い高級な味噌が、必ずしも生味噌とは限らないこと。
価格の高い高級味噌の中にもアミノ酸などが添加されている場合もあるので、
値段が高いから大丈夫だろうと考えず、生味噌を選ぶなら必ず原材料をチェックするようにしましょう。

菌が生きている、生の味噌を手に入れるには、自然食品の店に行く必要はありません。
数は少ないですが、市販のスーパーにも呼吸穴のついている味噌が置いていることがあります。
ぜひ一度、商品を手にとって、じっくりと見てみるのもいいですね。

きちんと発酵させ、時間をかけて作られたものは腸に良い菌がたくさんいます。つまり、体にも良い影響があります。
普段何気なく味噌を選んでいるみなさん、ぜひ今回の記事を参考に、改めてお味噌選びの参考にしていただければ幸いです♪