発酵食品ってすごい!発酵食品が免疫力を高める理由とその魅力、上手な取り入れ方

コロナ禍の昨今、免疫力を高めるためには腸内環境から整えることが大切だという認識が広まり、“腸活”という言葉もたびたび注目されるようになりました。
腸内環境を整えることは、免疫力向上だけではなく、生活習慣病やがんの予防、便秘改善、ダイエット、美肌、アンチエイジングなど、身体にうれしい効果がたくさんあります。
そんな腸活に、実は「発酵食品」がとても効果的だとして、一時は納豆やヨーグルトがスーパーで売り切れにもなるほどに。
発酵食品は、腸内環境を改善して免疫細胞を活性化する働きがあり、免疫力を高めるにはとても効果的です。
そこで今回は、発酵食品とはどんなものなのか、発酵食品が免疫力を高める理由や菌と免疫力の関係、その魅力についてお伝えします。

■発酵食品とは?

発酵食品とはその名の通り、食材を発酵させた食品のこと。
発酵とは、微生物が有機物を分解し、別の物質に変化させることです。
日本でも世界でも数多くの発酵食品があり、冷蔵庫ができるはるか前から保存食として親しまれてきました。
発酵させることで、長期保存が可能になったり、栄養価やうま味がアップされたり、体の錆取り(抗酸化作用)他、発酵食品の持つパワーと魅力には今も昔も注目が集まっています。

■発酵と腐敗の違いとは?

微生物のはたらきは、人間にとって有益な「発酵」と、有害な「腐敗」の2つに分けられます。
それらの違いは、それがヒトにとって有益かどうかというだけで、厳格な決まりはありません。
微生物の働きに着目すると、実は「発酵」と「腐敗」は同じものなのです。
働きによって生成した食品が人間にとって有用なものであれば発酵、有害で食べられなくなった場合は腐敗と呼びます。
発酵は、元の食材にはなかった新たな味わいや豊かな香りを楽しめるのが特徴です。
⼀⽅腐敗は、悪臭のもととなる成分が生成されたり、病原性の微生物が増殖したりして、腹痛や下痢など体に害を及ぼします。


■食品の発酵を促す3大微生物

食品の発酵は、微生物のはたらきによるものです。
発酵を促す微生物は大きく「細菌」「酵母」「カビ」の3つに分けられます。
カビの胞子や酵母、細菌の細胞は、いずれも10μm(マイクロメートル)以下と小さく、目には見えませんが、これらのはたらきなくしては、発酵食品は生まれません。

・細菌

細菌は、3種の中で最も小さな微生物です。単細胞の微生物で、細胞分裂を繰り返して増えていきます。
発酵食品をつくる細菌の代表例が、ヨーグルトやキムチを作る「乳酸菌」、食酢を作る「酢酸菌」、納豆を生み出す「納豆菌」です。
代表格の「乳酸菌」は糖を乳酸に変える働きがあり、ヨーグルト、チーズなど牛乳の加工品をはじめ、漬物造りにも用いられます。
発酵が進む際に、どのように作用するのかは、細菌の種類によって異なります。

・酵母

酵母は球形や楕円形をした単細胞の微生物。出芽によって増殖します。
酵母はアルコールをつくるときに欠かせない微生物で、お酒の種類によって「ビール酵母」「ワイン酵母」「清酒酵母」などがあります。
発酵時には二酸化炭素ガスが生成され、これが溶け込むとビールやシャンパンなど炭酸を含んだ酒ができます。
また、また酵母からでるガスを利用してパンの発酵にも利用されます。
イーストや納豆菌などさまざまな種類があり、食品によって異なる酵母が使われます。

・カビ

カビは有毒なものがほとんどですが、発酵に使われるカビには毒がありません。胞子を飛ばして拡散し、糸状の細胞(菌糸)を伸ばして成長します。
カビは味噌や醤油をつくる麹菌が代表で、ほかにブルーチーズで知られる「青カビ」、かつお節をつくる際に使われる「カツオブシカビ」などがあります。

・複数組み合わせたものも

複数を組み合わせたものもあり、例えば、みりんや焼酎は酵母とカビから出来ています。
ブルーチーズやカマンベールチーズは細菌とカビ、また味噌・日本酒・醤油は、細菌と酵母とカビと3種類の微生物が関係しています。

■私たちの食生活に直結する、代表的な5つの微生物

更に詳しく見ていきましょう。
私たちの食卓には常に発酵食品があるといってもいいほど、毎日発酵食を食べています。
なかでも身近な発酵食品にかかわる5つの微生物、麹菌酵母菌乳酸菌酢酸菌納豆菌についてご紹介します。
これらの微生物は、自らの生命活動のなかでエネルギーを得るために炭水化物やたんぱく質などの有機化合物を分解して、さまざまな副産物をつくり出します。

<麹菌>

麹菌は麹を作るためのカビの一種で、味噌、醤油、鰹節、日本酒、本みりんんなど、日本由来の調味料や発酵食品に使われています。
清酒、焼酎、甘酒、塩麹などにもかかわっていて、その重要性から2006年に「国菌」と認定されました。
麹には酵素が多く含まれていて、食材に甘みとうまみをもたらし、体内での消化吸収を良くしたり、酵素から生み出されたオリゴ糖をエサにして有用菌が活性化され、免疫力アップにつながります。

<酵母菌>

酵母菌は糖を分解して二酸化炭素とアルコールを生成する菌で、お酒の醸造やパン作りに使われます。
「清酒」や「ワイン」の香りも、酵母菌によるアルコール発酵によって生まれます。また、「パン」がふくらむのも酵母(イースト)によるもので、二酸化炭素を発生させてふくらませ、よい香りをもたらします。
酵母菌は消化吸収されずに、ダイレクトに腸内の免疫細胞に働きかけて免疫力を高めるβグルカンも含まれています。

<乳酸菌>

乳酸菌は、糖類などの炭水化物を分解して乳酸を作る細菌の総称で、風味を向上します。
酸性が強くなると固まる性質があり、それを利用したのが牛乳に乳酸菌を入れて発酵させた「ヨーグルト」や「チーズ」です。
日本に古くからある「漬け物」も乳酸発酵によるもので、野菜などの材料にもともと付着している乳酸菌と、材料に含まれる糖類の作用でできあがります。
乳酸が増えると他の雑菌が増殖しにくくなるため、保存性が高まります。
また、乳酸菌は腸内環境と関係の深い菌であり、免疫細胞を活性化する働きがあります。血液中や組織に存在する免疫細胞の「マクロファージ」を活性化させる働きもあり、異物に対する攻撃力がより高まります。
ヨーグルト、チーズ、ぬか漬け、キムチなどがあります。

<酢酸菌>

酢酸菌はアルコールをお酢の成分の酢酸に変える細菌で、お酢を作るのには欠かせません。
酢酸菌がかかわる食品には、米酢、ワインビネガー、ココナッツミルクを酢酸発酵させた「ナタデココ」もあります。
腸内の免疫細胞にある免疫システムのスイッチを刺激して活性化させ、免疫力を高めてアレルギー症状を抑える働きがあります。

<納豆菌>

その名の通り、「納豆」をつくる菌です。
稲わらに多く生息していて、加熱した大豆に加えて発酵させると、たんぱく質を分解してアミノ酸を生成します。その過程で栄養価が高まり、ナットウキナーゼという酵素をつくります。独特の粘りは、うまみ成分のグルタミン酸と多糖類のフルクタンが結合した物質です。
熱や酸に強く生きたまま腸まで届き、腸の働きを高めたり、有用菌を増やす働きがあります。
さらに、免疫細胞を活性化させる働きもあります。

■身近なおすすめの発酵食品9選

ここでは、身近な発酵食品について解説します。
発酵食品はたくさんの種類があり、逆に何を食べればいいのかわからない人もいると思うので、
ぜひ参考にしていただき、発酵食品を毎日の食事にプラスして、腸内環境を整え免疫力アップを目指してください。
ただし、発酵食品は塩分が高いものが多いため食べ過ぎには注意して、栄養バランスの整った食事をするようにしましょう。

・味噌

味噌は大豆を麹菌で発酵させたものです。米麹を使う米味噌、豆麹を使う豆味噌、麦麹を使う麦味噌など、さまざまな種類があります。
常温で10カ月から1年ほど熟成させるのが一般的です。
味噌汁なら1日1杯を目安に、毎日摂り続けることがポイント。
生活習慣病の予防などあらゆる効能に期待でき、日本食には欠かせない発酵食品です。

・醤油

醤油は、煮た大豆や小麦に麹と塩を加えて発酵させたものです。
大豆のタンパク質を、麹菌の酵素で分解して作られており、醤油乳酸菌や酵母などのはたらきで、熟成が進みます。
原料や製法の違いにより、濃い口醤油、薄口醤油、白醤油、溜醤油などがあります。
塩分を多く含むため、1日大さじ1杯を目安にした方がいいですが、日本人の食卓には欠かせない発酵食品です。

・酢

酢は、穀物や果実などの原料を酢酸菌で発酵、熟成させたもので、使う原料によって、醸造酢、穀物酢、米酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガーなど、さまざまな種類があります。
1日の目安は大さじ1~2杯(15~30ml)程度で、食事中か食後に摂取し、胃に負担をかけない程度に飲むことがポイント。

・塩こうじ

塩麹は、麹と塩、水を合わせて発酵させたものです。
塩麹を使うことで、素材がやわらかくなり、うまみ、甘みが引き立ちます。
塩気がおだやかで角がなく、発酵による深い味わいと風味があるので、ほかにいろいろな調味料を使わなくても味が決まるため、塩分や糖分、油脂をひかえることにつながります。

・ぬか漬け

米ぬかと塩を混ぜ、そのなかに野菜を漬けて発酵させたものが「ぬか漬け」です。野菜に付着した乳酸菌が米ぬかをエサに増殖します。
乳酸菌は生きたまま腸まで届く可能性が高く、腸内の有用菌を増やして腸内環境を整える働きがあります。
また、加熱をしないぬか漬けは、漬ける野菜の栄養素が損なわれる心配がありません。

・キムチ

キムチの発酵には乳酸菌がつかわれています。
キムチは、主に白菜を使った韓国の漬物で、一度、塩で漬け込んだ白菜に、唐辛子などを混ぜて発酵させます。
独特の辛味が人気で、日本でも好んで食べられています。

・納豆

納豆は、大豆に納豆菌を作用させたものです。大豆と納豆菌により、粘りのある納豆が生み出されます。
原料の大豆は植物性たんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラル、食物繊維も豊富で、“ 天然のマルチサプリメント”と呼ばれています。
さらに納豆は、発酵によりアミノ酸に分解されているので、消化吸収のよい形になっています。
納豆菌は熱や酸に強い性質があり、生きたまま腸に届いて善玉菌として働くため、腸内環境の改善にも効果大。
多くの生活習慣病を予防してくれる成分をたっぷり含んだ納豆は、毎日の食卓に積極的に取り入れたい健康食品です。

・ヨーグルト

乳に乳酸菌を混ぜて、発酵させたものがヨーグルトです。原材料は、牛乳、馬乳、山羊乳などのほか、植物性の豆乳を使ってヨーグルトを作ることもできます。
ヨーグルトには乳酸菌が多く含まれており、腸の活動を活発にし便通を促します。
さらに腸内の“悪玉菌”の繁殖が抑えられて腸内環境が良好になり、免疫力が向上します。
毎日1カップ(200kcal)を目安に継続的に食べるのがお勧めです。
体重増加が気になる方は、無糖または低糖のものにし、甘さが欲しいときはオリゴ糖やはちみつ(小さじ1杯)を組み合わせるようにしましょう。

・米麹甘酒

甘酒は、米麹、米、水を混ぜて発酵させて作る飲み物です。麹から作る甘酒はアルコール度数0%です。
自然で優しい甘みがあり、飲み物として楽しむほかに、砂糖やみりんに代わる調味料として活用することができます。
体へ吸収されやすいブドウ糖やオリゴ糖をはじめ、ビタミンB 群、アミノ酸などが甘酒には含まれています。
さらに、胃酸や胆汁酸に強く、生きたまま腸まで届く可能性が高い乳酸菌、便秘の改善や整腸作用がある食物繊維、オリゴ糖で腸内環境が改善され、免疫力アップにつながります。
最近では「飲む点滴」、「飲む美容液」と言われています。

・他にもこんな発酵食があります

イカの塩辛 ・ピクルス ・サワークラウト ・メンマ ・ナンプラー ・かつお節 ・アンチョビ ・サラミ、ペパロ二 ・チーズ ・発酵バター ・サワークリーム ・ナタデココ ・ウーロン茶、紅茶 ・日本酒 ・ワイン ・ビール ・マッコリ ・黒酢 ・チョコレート・コーヒー豆・プーアル茶・碁石茶・バニラ みりん・豆板醤・コチュジャン・ドライソーセージ・生ハム・くさや・くずもち・パン 等

以上のように、免疫力アップにつながる発酵食品にはさまざまなものがあります。
積極的に発酵食品を摂って、免疫力アップを目指しましょう。

※ちなみに、梅干は発酵食品と思われがちですが、一般的には梅と塩だけでつくるため、発酵食品ではありません。
梅自体に含まれるクエン酸などの成分が強い殺菌作用を持っているため、梅干は長期間保存することができます。


発酵食品の効能や効果、メリットについて

・腸内環境を整え免疫力を高める

人間の免疫細胞の約7割は、腸内に存在しているといわれています。
発酵食品に含まれる乳酸菌や麹菌、納豆菌などの微生物は、腸内の悪玉菌の繁殖を抑える効果があり、善玉菌を優位にし、腸内環境を整える効果が期待できます。
腸内環境が改善されることで、便秘の解消にも繋がります。
また、体内に取り込まれて小腸壁を通るときに免疫細胞を活性化する作用があり、発酵食品が免疫細胞を活性化させることで、病原体と戦うための免疫力が向上します。
また、腸は外部から侵入してくる有害な菌や異物をブロックする重要な役割を担っており、腸を元気にすることが、免疫力を高め、体全体の健康を保つ近道といえるでしょう。

・食品の保存性を高める

微生物には自分以外の微生物の生育を阻止または死滅させる作用があります。そのため、ある一定量を占めると、悪玉菌である腐敗菌が駆逐されて腐りにくくなります。
例えばそのままだと腐敗しやすい牛乳も、発酵させたチーズやヨーグルトになると乳酸菌により環境が酸性となり、酸性の環境では生育できない雑菌が減少して保存が効くようになります。
またキムチは、乳酸菌の働きで野菜の糖分から乳酸を生み出し、漬け汁を酸性にすることで雑菌の繁殖を抑えています。
このように、発酵に関わる微生物が腐敗の原因になる雑菌の繁殖を防いでくれるため、発酵食品は保存性が高くなります。

・味わいや香りがアップする

発酵食品をおいしいと感じるのは、発酵作用を行う微生物により、もとの食材にはない独特の香りやうま味が生まれるため。
原料が微生物の力で分解され発酵する過程で、食材の澱粉や糖、タンパク質を分解発酵させて独自の旨味成分をつくりあげます。
発酵食品の独特な香りについても、発酵過程で微生物の作用によって生成される香気成分によるものです。
例えば納豆の場合、大豆にもともと含まれるたんぱく質は納豆菌の働きによって分解され、うま味成分であるアミノ酸を放出します。
そのため納豆は元の大豆にはない深い味わいと独特な食感を与えてより美味しくなるのです。
同じように米も麹菌の酵素によって分解されることで、酒やみりんの深い甘みを作り出しています。
また、微生物そのものの旨味もあり、これらがミックスされて独特の美味しさが感じられるのです。

・栄養価が高まる

発酵の過程で、微生物がビタミン類などさまざまな栄養成分をつくり出します。
例えば、ゆでた大豆と納豆の栄養成分を比べると、納豆のほうがビタミンB2は7倍、葉酸は3倍、ビタミンKはなんと120倍も多く含まれています。
大豆のときにはほとんど含まれていないビタミンK2も納豆には豊富に含まれているなど、新しい栄養成分も加わります。
また、乳酸菌や酵母のように、発酵させる微生物自体にも健康に良い働きをするものがたくさんあります。
発酵させるだけでこれほど栄養価がアップするのだから、発酵食品がいかに優れた食品であるかがわかります。

・体内へ吸収されやすい

発酵食品は、麹カビや酵母、細菌などの微生物の働きによって原料成分の栄養素が分解されています。そのため、消化吸収しやすい状態になっており、体内での消化もスムーズに行われます。
また、消化するために使われる酵素をあまり必要としないため、貴重な酵素を有効に活用することができます。
そして、乳酸菌や酵母菌などの善玉菌は、腸内環境を整えて栄養を吸収しやすくする効果が期待できます。
そのため、食材をそのまま摂取するよりも、より多くの栄養素を吸収できるというメリットもあるのです。

・アンチエイジング効果

体のサビともいわれる老化の原因、活性酸素。
その発生を抑えるのに抗酸化物質の摂取が有効です。
味噌や赤ワイン、チョコレートなどの発酵食品には、抗酸化物質であるポリフェノールなどが豊富に含まれているため、体内で増えすぎた活性酸素を除去し、体の酸化を防いでくれます。
麹菌がでんぷんを糖に分解する途中でできるコウジ酸には、この活性酸素の働きを抑え、細胞を活性化させるアンチエイジング効果があると言われています。
納豆やみそなど、大豆を原料とする発酵食品にも、ポリアミンという抗酸化成分が含まれています。
また、発酵過程そのものが抗酸化作用を強めることも分かっており、
もとの食品に含まれているビタミンCやカロテン、カテキン、フラボノイドといった抗酸化物質は、発酵によってさまざまな酵素が働くことで、効率よく抽出され、非常に強い抗酸化作用を発揮するようになります。

・美肌効果

発酵の過程でつくられるアミノ酸や酵素などが、新しい細胞の生成を促すため、美肌効果も期待できると言われています。
また、麹菌には、肌のくすみの原因となる、メラニン色素の生成を抑える効果があります。
発酵食品の摂取で善玉菌により腸内環境が改善されると、肌荒れの解消につながることも期待できます。
また、腸内環境が整うと、栄養素の吸収がよくなるため、肌細胞を良好に保つために必要な「タンパク質」や「ビタミン」などがしっかり吸収されることで、美肌につながります。
また、発酵食品にはビタミンC、カロチン、ポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれているので、健康と美容にいいと言われています。

・ダイエット効果

発酵食品に含まれる善玉菌の働きによって、腸内環境が整いやすくなり、便秘解消につながります。
便秘が解消されると、栄養素の吸収が良くなり、代謝も上がってダイエットに繋がります。
微生物による酵素が体内の酵素の働きを補って代謝を助けてくれるため、食べたものがムダなく消費され太りにくくなります。
また、酢酸菌には、脂肪の分解を促進する効果があります。

・生活習慣病の予防になる

多くの発酵食品に含まれているビタミンB群には、代謝を促進する作用があります。
また、味噌や醤油、納豆など大豆系の発酵食品に含まれるイソフラボンには、血管壁に付着した悪玉コレステロールを除去したり、高血圧を予防したりする作用があり、動脈硬化の予防に寄与することがわかっています。

・アレルギーを抑制する効果

花粉症などのアレルギーは、体の免疫機能の乱れによって起こると言われています。
免疫細胞の多くは、腸に集中しているため、腸内環境が整うと、腸のはたらきがよくなって免疫力が上がります。その結果、アレルギーの症状が和らいでいきます。
発酵食品に含まれる乳酸菌や麹菌、納豆菌などの微生物は、腸内環境を整える効果が期待できます。

・コレステロールを正常にする効果

乳酸菌や酢酸菌のなかには、コレステロールを低下させる機能を持つものもあります。
血中の悪玉コレステロールが増えすぎると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの病気を誘発する可能性があります。
発酵食品の摂取により、コレステロールを正常値に近づけられます。

・ストレス軽減に役立つ

味噌や納豆、ぬか漬けやキムチ、ヨーグルトなどの発酵食品には、天然アミノ酸の一種であるGABA(ギャバ)という物質が含まれています。
GABAは神経伝達物質として脳の興奮を鎮めて、イライラを抑えたり、リラックスさせる作用があるとされています。
GABAは通常野菜にはほとんど含まれていませんが、ぬかが発酵するとギャバが豊富に作り出されます。


発酵食品の効果を高めるために意識したいポイント

発酵食品は食べ方を工夫すると、より効率よく効果を実感することができます。ここでは発酵食品を摂る際のポイントをお伝えします。

・発酵食品同士を組み合わせる

発酵食品は、組み合わせて食べると、効果が高まります。
たとえば、納豆+キムチ、ヨーグルト+甘酒、酒粕+みりんなどもおすすめの組み合わせで、より高い整腸作用が期待できます。
※漬物や味噌汁など塩分の高い食品は、1食の中で重ねてとらないように気をつけましょう。

・食物繊維やオリゴ糖と一緒に食べる

発酵食品を摂取して腸内の善玉菌を増やしたら、それを育てることも大切です。
食物繊維やオリゴ糖は善玉菌のエサとなるため、発酵食品と一緒に摂取すると、効果を高められます。
また、麹には糖質が多く含まれていますが、食物繊維と一緒に摂ることで、血糖値が急激に上昇するのを抑えられます。

・継続して食べる

発酵食品は、1回だけの摂取や、食べてすぐに効果が得られるわけではありません。継続して摂取することで、徐々に発酵食品の効果を実感できるようになります。
また、菌が腸内で活動できるのは3~4日とされています。
調味料に味噌や醤油、酢を利用する、間食にヨーグルトやチーズを食べるなど、毎日続けて食べるようにしましょう。

・なるべく生の状態で食べる

食材にもよりますが、なるべく生の状態で食べることもポイントです。
微生物の多くは加熱に弱く、40度以上の温度で死滅してしまう菌も多いので、発酵食品を加熱せずに食べると生きた菌を摂りやすくなります。
味噌汁を作る時も火を止めてから味噌を溶き入れ、さっと火を入れてからいただくのが基本です。
ただし、乳酸菌など発酵食品が持っている菌に関しては、加熱すると菌は死滅しますが、善玉菌のエサになり、腸内環境をよくしてくれますので無駄になるわけではありません。

発酵食品の注意点

・発酵食品の賞味期限について

保存食としてのイメージが強い発酵食品ですが、市販のものには賞味期限があります。
その理由は、食品を流通させる際、衛生上の問題で殺菌処理がされ、発酵が止められているから。
そのため、絶対に腐らないわけではないため、賞味期限は守るようにしましょう。
塩分やアルコール分が多く含まれる味噌や醤油といった発酵食品に比べ、糖分が多い甘酒などの発酵食品の中には、腐敗菌をブロックする成分が含まれず、腐敗が進みやすいものもあります。

 ・食べ過ぎに注意する

漬物や味噌などは、栄養価も高いですが、同時に塩分濃度も高いので発酵食品だからといって摂取のしすぎは禁物です。
過剰摂取は塩分の摂り過ぎにつながり、むくんだり、高血圧や腎機能を低下させる原因となります。
小皿に取り分けて食べる、調味料は計量するなどして、食べすぎに注意しましょう。
みそ汁なら一日1~2杯くらいを目安にしましょう。
しっかり出汁をとってみそ汁を作ると、減塩しても物足りなさを感じにくいです。
また、漬物は塩分が高めなので、毎食は食べないようにしましょう。
納豆は、一日1パック(50g)程度にしましょう。

・ストレスによる便秘は悪化する可能性も…

ストレスによる便秘(※痙攣性便秘)の方は、納豆、味噌、ぬかみそ漬(特にかぶの葉)などの不溶性食物繊維を多く含む発酵食品を食べすぎると、かえって便秘が悪化することがあります。
これは不溶性食物繊維によって、腸への刺激がさらに増すために起こります。

・ヨーグルトは無糖・低脂肪を選ぶのがベター

ヨーグルトを習慣的に食べることは、腸内環境の改善につながると言われています。
1日に食べる量は200gが目安。カロリーが気になる方は、無糖・低脂肪のヨーグルトを選ぶのがおすすめです。
加糖タイプのヨーグルトなど、「糖分が含まれている発酵食品」の食べすぎは肥満につながります。
これは、摂りすぎた糖分がエネルギーに変換されずに、脂肪として体内に溜まってしまうことが原因です。

 

発酵食品にもいろいろあり、全てが特別身体に良いとされているわけではありません。
そして、素晴らしい発酵食品ですが、一つだけで完全な食材はありません。
自分にどの栄養素が不足しているのか、日常の食事が同じものばかりに偏っていないか、生野菜や果物などが不足していないかなどを考えながら
上手に発酵食品を取り入れていくことが一番大切です。
それぞれの食材を組み合わせて、発酵の恩恵を上手に食事に取り入れてみてください。


まとめ

長い歴史と先人の知恵によって育まれてきた発酵食品。
長年私たち日本人の食を支えてくれた発酵食品は素材の旨味を引き出し、健やかな食生活を送るためにも欠かせないものだといわれています。
発酵食品は、まさに“生きた健康食”であり、 ” 微生物の贈り物 “。そして、現代人の疲れた体を守ってくれる“救世主”です。
健康をサポートしてくれるさまざまな効果があり、その種類もとても豊富。
毎日継続して摂取するのは難しそうに思えますが、手軽に摂取できる発酵食品も多いため、忙しい人でも少しの工夫で手軽に美味しく取り入れることができます。
今回紹介した発酵食品の知識や効果的に摂る方法を参考にして、毎日の食卓に取り入れ、気軽に発酵食品を楽しみましょう!