相性抜群の食べ合わせ!栄養を生かすも殺すもあなた次第?!

皆さんは、ご飯を作るとき、食べるとき、「食べ合わせ」を考えていますか?
「食べ合わせ」とは、2つ以上の食材を組み合わせることによって、吸収や栄養価をアップさせる考え方です。

(逆に、打ち消しあって、食材が持つ栄養素を減らしてしまったり、吸収を妨げてしまう食材の組み合わせもあります。
これについては次回お伝えします。)

食べ物の組み合わせは無限にありますが、いつも何気なく食べている食事の中で、実は既に栄養価をアップさせる素材の組み合わせになっているものがたくさんあります。
例えば、焼き魚に大根おろし、冷奴にカツオ節、トンカツにキャベツ…などなど。
それは誰に教えられたでもなく、先人から受け継いだ考えが無意識に活かされています。
もちろん、美味しいから!という理由もありますが、栄養学的にもこの「食べ合わせ」は大変重要です。

今回は、そんな「食べ合わせ」の例をご紹介しましょう。


焼き魚×大根おろし

昔から、焼き魚には大根おろしがつきものです。特に秋の味覚、サンマには必須ですね。
魚の臭みを抑え、味わいをよくするほか、お互いの栄養を効率よく摂取できるので非常に理にかなった食べ方です。
生野菜などには消化酵素が含まれていますが、特に生の大根には、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化酵素が多く含まれています。
魚は焼くとタンパク質が固まり消化しにくくなりますが、これらの消化酵素が魚のタンパク質を分解し、消化をサポートしてくれます。
また、魚はミネラルが豊富です。大根に多いビタミンCはミネラルの吸収を促す働きがあります。
また、大根に含まれるビタミンCが魚のDHAやEPA(不飽和脂肪酸)の酸化を防いでくれます。

ただし、これらの消化酵素は熱に弱いので、大根はで、また酵素を活性化させるためおろして使いましょう。

トマトソース×オリーブオイル

トマトにたっぷり含まれるリコピンという赤い色素成分は、エイジング対策として期待できる抗酸化作用があります。
リコピンは、一般の生食用トマトよりもトマトジュースや水煮缶のような加工用トマトの方が多く含まれています。
また、リコピンは「脂溶性」のため、オリーブオイルなどの油脂とともに摂取したりすると吸収が良くなります。
さらに、ニンニクや玉ねぎを油と合わせて調理すると、ニンニクや玉ねぎに含まれるフィトケミカルの働きで、さらにリコピンが吸収しやすい形になります。

 

トマト×アボカド

上でも書いたように、トマトに含まれる「リコピン」は、脂質があると吸収されやすいため、脂質の多いアボカドと食べることで効率よく栄養がとれます。
アボカドは、別名「森のバター」と呼ばれるほど良質な脂質を多く含む食材です。

豆腐×カツオ節

冷や奴と言えば、ネギに、ショウガに、それからたっぷりのカツオ節ですよね!
豆腐とカツオ節はどちらもタンパク質を豊富に含んでいます。
タンパク質を構成しているのは複数のアミノ酸ですが、アミノ酸がよりそろっているほど、より含んでいるほど良質なタンパク質と言えます。
豆腐には必須アミノ酸のフェニルアラニン、トリプトファンが豊富に含まれていますが、リジン、メチオニンが不足しています。
その一方でカツオ節にはリジン、メチオニンが豊富に含まれている代わりにフェニルアラニン、トリプトファンが不足しています。
よってこの食べ合わせはお互いの足りない所を補っていて非常に合理的な食べ方と言えます。

また、鰹節は豆腐のカルシウムを効率よく吸収するのに1役かってくれています。
カルシウムはそのままでは吸収が悪いのですが、カツオ節に含まれているビタミンDが、豆腐に含まれている豊富なカルシウムの吸収を助けてくれているのです。
ビタミンDの助けを借りるとなんと20倍も吸収がよくなると言われていますよ!

とんかつ×キャベツ

とんかつに千切りキャベツは、定食の定番ですよね。
キャベツにはビタミンU(キャベジン)という珍しい栄養が含まれています。
ビタミンUは、胃腸薬にも含まれており、胃腸を保護する働きがあります。
脂肪分の多いとんかつは食べすぎると胃もたれを引き起こしますが、キャベツに含まれるビタミンUが、脂肪分による胃もたれを抑制してくれる効果があります。
また、キャベツに含まれる食物繊維も、脂質の吸収を緩やかにしてくれます。
揚げ物にはキャベツを添えるのがオススメ!

レバー×ニラ

スタミナ食の王道、レバニラ。
レバーは低カロリーでタンパク質が豊富、かつ、ビタミンB群が豊富に含まれています。
ニラに含まれる独特の匂いや辛味成分である「硫化アリル」は、ビタミンB群の吸収を高める働きがあり、相乗効果があります。
上手に組み合わせることで疲れにくい身体をつくります。

豚肉×玉ねぎ

これも炒め物でよく一緒に使われる食材ですが、栄養の面でも相性が良い食べ物です。
上記で述べた理由と同じく、
タマネギに含まれる「硫化アリル」が、豚肉に多く含まれるビタミンB1の吸収を助け、効率よく栄養を取る事が可能です。

カレー×らっきょう

刺激物のスパイスが多く含まれ、脂っこく、小麦粉を原料とするカレーは、胃もたれの原因になることも。
らっきょうに含まれる「硫化アリル」には、消化液の分泌を促して胃を保護し、胃もたれを防いでくれます。
また、上記で述べた理由の通り、らっきょうに含まれる硫化アリルはビタミンB1の吸収を促進する役割もあるので、ビタミンB1が豊富な豚肉を使用したカレーにするとさらに相乗効果が高まります。

納豆×ねぎ

これも上記同様、
ネギに含まれる匂い成分「硫化アリル」が、納豆に豊富に含まれるビタミンB1の吸収を高めてくれます。
また、納豆だけでは不足するビタミンCの補給にもなります。

唐揚げ×レモン

これも定番ですが、見た目だけではなく、栄養面からも非常に理にかなった組み合わせです。
レモンの酸味にはクエン酸が含まれています。
クエン酸には唾液や胃液の分泌をよくし、消化吸収を促進して胃液の分泌を活発にしてくれる働きがあります。
また、ビタミンCも多く含まれていて、血中コレステロールを下げてくれる働きも。
そのため揚げ物と相性が良く、高カロリーになりやすい揚げ物による肥満も予防してくれます。

牡蠣×レモン

牡蠣フライや生牡蠣にもレモンがよく添えられています。
これはレモンに含まれるクエン酸が、牡蠣の菌の繁殖を抑え食中毒を予防するとともに、生臭さも緩和してくれるためです。
またクエン酸が牡蠣に含まれる亜鉛の吸収率を高め、レモンに含まれるビタミンCが牡蠣に含まれる鉄分の吸収率も高めてくれます。

刺身×わさび

生ものである刺身は、食中毒を引き起こす菌が発生する恐れもあります。
わさびは殺菌作用が強いので、食中毒を防ぐと同時に胃の働きを高めて、消化を助長する働きもあります。

お寿司×ガリ

これも上記と同じ理由。
寿司は生魚を調理しているため、どうしても食中毒の危険があります。
ガリには殺菌作用があるため食中毒を予防し、さらに消化を促進してくれます。

大豆×鮭

大豆に含まれるイソフラボンが、鮭に含まれるビタミンDの栄養価をさらに高めてくれます。
とは言っても、なかなか大豆×鮭の料理は浮かばないかと思います。
大豆と鮭の組み合わせというよりも、大豆製品の味噌や豆腐で考えると、
鮭のチャンチャン焼きや、焼き鮭と豆腐の味噌汁などがありますね♪

ブロッコリー×アーモンド

ブロッコリーはβカロテンやビタミンCが多く、アーモンドはビタミンEが豊富な食材です。
どちらにも抗酸化作用がありますが、ビタミンEは体内で発生する活性酸素の働きを弱め、みずからが酸化すると効力を失ってしまいます。
そのときビタミンE をふたたび活性化させるのが、ビタミンC。
したがってEをとるときはCも一緒にとることで、抗酸化作用がより向上することになります。


このように、吸収率を上げ、体内での働きを高め合う食材の組み合わせはたくさんあります。
例えば、「健康のためにビタミンEを摂ろう」と思ったとします。
ビタミンEには強い抗酸化作用があり、活性酸素による有害な過酸化脂質の発生を抑える働きがあります。
しかしながら、ビタミンE単独では効果が持続せず、徐々にその効果は衰えていきます。
ここにビタミンCが加わると、ビタミンEの抗酸化作用が持続し、より効果を発揮するのです。
つまり、ビタミンEを多く含む食材だけを食べるよりも、ビタミンCを多く含む食材を組み合わせて食べた方が、ビタミンEの効果が得られやすいということですね!

 

要約すると、以下のようになります。
この良い食べ合わせの掛け算はできれば覚えておきましょう!!

鉄分×ビタミンC

カルシウム×ビタミンD

ビタミンB1×硫化アリル

ビタミンE×ビタミンC

ビタミンA + 植物性油脂


いかがでしたか?
このように食材がもつ栄養素は、食べ合わせ次第で栄養をより摂取できたり、消化を助ける働きがあるのです。
せっかく食べるなら、食材に含まれる栄養素を効率よく摂取したいですよね!

とはいっても、様々な食材を使った食事を楽しんでいれば、自然と栄養バランスはとれているものです。
栄養を効率よくとるためには、バランスが何より大切。
食材の味や香り、見た目が異なるように、含まれる有効成分にもさまざまな特徴があります。
そして、栄養素は単独で働くのではなく、栄養素同士が複雑に関係し合って役割を果たしています。
毎日偏ったものを食べ続けると摂取できる栄養も偏るため、上記の食材ばかりを食べるのが決して良いというわけではありません。
また、特別な食材や食べ方でなくても、ここで書いた以外にも健康効果の期待できる組み合わせはたくさんあります。
食材の組み合わせ、というより良い栄養素の組み合わせを知っていると、効率良く栄養を取れる第一歩となるでしょう。
ここでご紹介した栄養素の組み合わせを頭の隅に置いていただいて、是非毎日の献立にお役立ていただければ幸いです!

次回は、逆に「栄養素が半減してしまう食材の組み合わせ」をお伝えさせていただきます。