強い抗酸化作用を持つ睡眠ホルモン“メラトニン”とは?!

皆さん、夜はぐっすり眠れていますか?
夜ぐっすり眠るためには、「メラトニン」というホルモンが必要です。
別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

「寝付きが悪い」「熟睡できない」という睡眠の悩みを抱えている方は、もしかすると“メラトニン不足”になっているかもしれません。
この記事では、メラトニンが睡眠にどのように関係しているか、睡眠の質を高める方法とあわせて解説します。


メラトニンとは?

メラトニンとは脳の「松果体(しょうかたい)」という器官から分泌されるホルモンの一種です。
メラトニンの分泌は主にによって調節されています。
分泌量は、暗くなると増え明るくなると減ります

眼球の網膜から入った外界の光刺激は、脳視床下部の体内時計中枢である視交叉上核に伝達され、松果体に達します。
明るい光によってメラトニンの分泌は抑制されるため、
日中にはメラトニン分泌が低く、
夜間に分泌量が十数倍に増加するという明瞭な日内変動が生じます。
ただし昼夜の区別のない環境(窓のない密室内など)でも、
体内時計によって日中が高く夜が低いという日内変動が続きます。
逆に夜間でも強い照明(コンビニの店内など)を浴びれば、メラトニン分泌量は低下します。
すなわちメラトニンは体内時計と環境光の両方から調節を受けています。


メラトニンの働き

では、メラトニンにはどのような働きがあるのでしょうか?

■生体リズムを調整する

メラトニンには、生体リズムを調整するはたらきがあります。
生体リズムとは、季節リズムや睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌リズムなどの概日リズム(約1日の周期をもつリズム)のことをいいます。
生体リズムは「体内時計」とも呼ばれ、1日の昼夜リズムに従って、効率よく、快適に生活できるように調節する働きをしています。
これが乱れると日中に眠くなったり、食欲不振になったりと体にさまざまな影響が出てしまいます。
生体リズムを整えるためにもメラトニンの分泌を促す必要があります。

■睡眠を促す

メラトニンは覚醒と睡眠を切り替えて、睡眠を促す催眠作用があるため「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。
通常、起床後に太陽光が目から入ると、脳にある体内時計に時刻情報として伝達され、体内時計を朝の状態に合わせることになります。
また、体内時計からの信号で、メラトニンの分泌が止まります。
朝の光を浴びてから14~16時間くらいすると、脳内の松果体からメラトニンの分泌が始まります。
メラトニンが分泌されることによって、末梢血管が広がり、体内の熱が外に放出され体温が下がることによって、眠気を感じるようになります。
更に呼吸や脈拍、血圧が低くなり、副交感神経を優位にして気持ちを落ち着かせ、身体はさらに眠りに適した状態になります。

快適な睡眠をとることができたり、決まった時間に起きられるようになったりと規則正しい生活が送れるのは、メラトニンがしっかり分泌されているおかげといえます。
反対にメラトニンの分泌量が不足すると、深い睡眠が障害されます。

■抗酸化作用

メラトニンには強力な抗酸化作用があるため、老化防止(アンチエイジング)に効果があると言われています。
メラトニンの抗酸化作用は、抗酸化物質として知られるビタミンCやビタミンEよりも強いそうです。

また、メラトニンは抗酸化作用だけではなく、細胞の新陳代謝を促したり、疲れを取ってくれるため病気の予防になったり、さらには増毛効果まで備えていて、さまざまな効果を持つホルモンです。


メラトニンは減少する?!

メラトニンの分泌量は、子どものころに多く、その後しだいに減っていき、50歳を超えると10歳ごろの10分の1以下になります。
年をとると朝早く目覚めたり、夜中に何度も目が覚めたり、若い頃より睡眠時間が減ってくるのは、
加齢によりメラトニンが減少し、睡眠・覚醒のリズムが乱れ、体内時計に微妙なズレが生じてくるためと考えられています。


メラトニンの分泌を促すには

■日光を浴びる

メラトニンの分泌を促すには、午前中に日光を浴びることが重要です。
人間の覚醒のスイッチを押すのは、脳に入ってくる光です。
朝のうちに日光を浴びることで体内時計はリセットされ、メラトニンの分泌を停止することができます。
メラトニンは覚醒後14~16時間後に再分泌されるため、普段23時に就寝するなら7~9時までには日光を浴びる必要があります。
外に出るのが難しい場合も、カーテンを開けて日光を浴びるようにしましょう。
日照時間は、30分くらいは必要と言われていますが、その間ずっと窓際にいる必要はありません。
基本的にはカーテンを開けた状態で、明るいリビングルームで生活をするので大丈夫です。

夜の熟睡は、朝に作られます。
朝の光は起きるだけではなく、夜の眠りに密接につながっているのです。

■就寝前は部屋の照明の明るさを抑える

光は睡眠にとって、味方にも敵にもなります。
午前中は光を浴びることは良しとされど、夕方から夜の時間帯に浴びる光は家庭用の照明程度の明るさであっても体内時計を遅らせる力があり、夜遅くなるにつれ更にその力が強まります。
メラトニンは、500ルクス(通常の室内照明は約150~500ルクス)以上の光を浴びると分泌が抑えられてしまうので、夜間の照明は500ルクス未満の明るさにしましょう。
可能であれば部屋の照明を昼白色のものから暖色系のものに変える、間接照明を利用するといった対策もおすすめです。
コンビニの照明は2500ルクス以上の照度があります。寝る前に立ち寄るのは控えましょう。
就寝1時間前にはできるだけ暗めの部屋で過ごし、寝るときには照明を落とすと良いでしょう。
寝ている間は0.3ルクス程度の明るさ(月明かりレベル/何となく室内が見える程度)にするのがおすすめです。

また、スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトを夜間に浴びることも、正常なメラトニン分泌の妨げになります。
ブルーライトはメラトニンの分泌を抑制する力が非常に強いと言われているので、寝る前最低1時間はスマートフォンやパソコン、タブレット、ゲーム機などを操作することは控えましょう

光を味方につけて、良い睡眠習慣を身につけましょう!


メラトニンに欠かせない「セロトニン」とは?!

ここまで“睡眠ホルモン”「メラトニン」について述べてきましたが、
ここで合わせて知っておいていただきたいのが、“幸せホルモン”「セロトニン」。
メラトニンの分泌には、日中に分泌される「セロトニン」というホルモンが欠かせません。
メラトニンは、同じく脳内ホルモンであるセロトニンを材料にして作られています

メラトニンが夜に分泌されるに対し、セロトニンは日中、とくに太陽光を浴びることにより分泌されます。
そのため、二つのホルモンの関係は一見対立しているようですが、
セロトニンは夜になると松果体でメラトニンの原料へと変化するため、
セロトニンはメラトニンの生合成に欠かせないホルモンなのです。
つまりセロトニンの分泌量がメラトニンの分泌量を左右するため、メラトニンを十分に分泌させるためには日中にセロトニンが十分に分泌されることが重要といえます。

セロトニンに関しては、また次回詳しくお伝えさせていただきます。


いかがでしたか?
メラトニンの分泌を増やすために、とにもかくにもまず朝、光をしっかり浴びましょう!!
それが老化防止や健康増進に役立ちます。
メラトニンの分泌を促し生体リズムを整えるには、生活習慣を整えることが重要です。
毎日同じ時間に起きて太陽の光を浴び、同じ時間に寝ることができると、このリズムが自然とでき、心も体も安定していきます。
できるところから生活&睡眠改善していきましょう!