腸がきれいな人は肌がきれい!? 腸内環境と美肌の関係

体の「不“腸”」は、肌の不調?
「肌は腸の鏡」と言われる理由

寒さも日毎に厳しくなり、空気が乾燥してきた今日このごろ。
なんとなく、肌のかさつきが気になってきた人も多いのではないでしょうか?
肌荒れがなかなか治らない、吹き出物ができてしまう…
その原因は、腸内環境にあるかもしれません。
肌は腸の健康状態を表す鏡とも言われており、肌荒れなど肌トラブルが多いときは腸の健康状態も悪く、腸年齢も高くなっている可能性があります。


私たちは、普段の生活の中で知らず知らずのうちに腸に負担をかけてしまっています。
仕事や家事でストレスを抱えていたり、運動不足や食べ過ぎ、肉食に偏った生活などでも、
腸にストレスがかかり腸内環境のバランスが崩れてしまうことに。
今回は、美肌と深い関係がある「腸」について、
腸内環境が体や肌に与える影響や、腸内環境を整える食材などをご紹介します。


そもそも腸の働きってどんなもの?

人間の腸は、大腸と小腸に分けられます。
個人差はありますが、日本人の平均的な大腸の長さは約1.5メートル、小腸の長さは約6〜7メートルもあります。
驚くのはその表面積の広さ。
大腸の内壁を全部広げると、その表面積はなんとテニスコート半面分=約100平方メートル、さらに小腸はその2倍、テニスコート1面分=約200平方メートルもの表面積があるのです。
小腸は、胃や十二指腸で消化された食べ物をさらに消化分解し、栄養素の状態で吸収します。
栄養を効率よく吸収するために、ヒダ状になっています。
大腸は、水分やミネラルを吸収し、消化吸収された後の不要物を便にして、溜められています。

腸は人体で最大の免疫器官

腸は食べ物を消化吸収するだけでなく、全身の免疫を司るという重要な役割を果たしています。
私たちの体には、外から侵入する細菌やウイルスなどの病原菌を撃退し、体を守る防御システム「免疫」が備わっています。
免疫細胞は骨髄の中で生まれて血液やリンパ液を通って全身を巡っていますが、その免疫細胞の約70%は腸に存在しています。
消化器官は口から肛門までひと繋ぎになっている器官であるため、「内なる外」と言われるぐらい抗原(細菌やウイルスなどの外部から入り込んだ異物)と関わることの多い場所となっており、
中でも特に様々なものを吸収する腸は、有害な物質を体に入れないために免疫細胞が豊富に存在しているのです。
つまり腸が活発に働くと、必要な栄養を吸収し体⼒をつけるだけではなく、腸管免疫が病原菌から体を守ってくれるのです。

腸内の免疫細胞は、良質な「腸内細菌」によって強くなります。
腸内細菌は100種、100兆個を超えるといわれています。
腸内細菌のバランスを整え、その結果、免疫細胞が活性化されれば、免疫力が向上するのです。


私たちの腸内環境を大きく左右する、腸内細菌とは

人間の腸の中には約100兆個もの細菌が存在しており、
「腸内フローラ」という集団を形成しています。
腸内フローラを構成する細菌は、カラダにいい影響をもたらす善玉菌(有用菌)、悪い影響をもたらす悪玉菌(有害菌)、どちらにも属さない日和見(ひよりみ)菌の3つのタイプに分けられ、これらはつねにせめぎ合いながら共生しています。

●善玉菌

身体にとってよい働きをする菌で、消化吸収を高める、腸のぜん動運動を活発化させ排便を促す、免疫力を高めて感染や病気を防ぐ、などの働きがあります。
また、コレステロールや中性脂肪の代謝を促進したり、
ビタミンやホルモンを生産する働きもあり、身体の健康を維持する重要な役割を果たしています。
主な善玉菌としては、ビフィズス菌や乳酸菌などがあります。

●悪玉菌

善玉菌とは逆に、身体に悪い影響を及ぼす菌で、
腸内をアルカリ性に傾け腐敗産物や有害な物質を作り出す、
身体の抵抗力を弱める、下痢や便秘・生活習慣病などを招く、
肌荒れや老化を促進する、などの有害な作用があります。
悪玉菌はさまざまな不調につながる厄介な菌です。
また、排泄されにくい便を作るため、便秘の原因となります。

●日和見菌

どちらにも属さない菌で、中間菌とも呼びます。
悪玉菌が増えると、日和見菌は悪玉菌として傾いてしまいます。
健康なときは善玉菌に、不健康なときは悪玉菌に傾く菌で、腸内細菌のなかでいちばん多いとされています。
主な日和見菌としては、連鎖球菌や大腸菌(無毒株)などがあります。

これらのバランスをとることが大切で、【善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%】が腸内環境の整った状態と言われます。
正常な腸内環境であれば、善玉菌が悪玉菌よりも優勢な状態となります。
しかし、腸内環境は食事や運動、睡眠などの影響で変化してしまうもの。
何らかの原因で悪玉菌の増殖が進んでしまうと、悪玉菌が優勢となり、老廃物が腸内に溜まりやすくなります。
これが、腸内環境が悪化している証。
腸内に悪玉菌が増殖してしまったときこそ、腸内環境を改善すべきときなのです。
腸内環境を整えるには、腸内の善玉菌を増やすことが大切です。


腸内環境をよくするために、できること

腸内の善玉菌を増やすためには、「善玉菌そのものを摂取する」「善玉菌のエサを摂取する」という2通りの方法があります。
腸内フローラのバランスは、ストレスや睡眠不足などの生活習慣の影響を受けやすく、日々状態が変化すると言われているため、
菌とエサの両方を摂取することが、良好な腸内環境を維持するポイントになります。

■腸内環境改善法 「善玉菌そのものを摂取する」

腸内環境を整えるには、善玉菌そのものを摂取して補っていくことが近道です。
善玉菌の代表的なものには、乳酸菌やビフィズス菌があり、「腸活」として摂取を心がけている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
乳酸菌やビフィズス菌などを多く含む食品には、ヨーグルト乳酸菌飲料などがよく知られています。
ただし、乳酸菌やビフィズス菌は、一定期間しか腸に留まっていることができないため、
継続的に食べ続けることが大切です。
他に、善玉菌が含まれる食材は、味噌、醤油、チーズ、漬物、日本酒、納豆、キムチなどがあります。

■腸内環境改善法 「善玉菌のエサを摂取する」

乳酸菌をはじめとする善玉菌は、私たちのカラダと同じようにエネルギー源となるエサが必要です。
菌は腸内で生きており、エサがなければ、善玉菌の活動が鈍ってしまったり、減ってしまったりすることもあります。
善玉菌のエサとなってくれる代表的なものは、食物繊維オリゴ糖などがあります。

食物繊維が豊富に含まれている食品

日本人の多くは食物繊維が足りていないので、意識的に摂取することが大切です。
食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」に大きく分けられます。
善玉菌のエサになりやすいのは水溶性食物繊維なので、善玉菌を増やしたいなら、果物や海藻類、大麦など、水溶性食物繊維を多く含む食品を積極的に摂るようにしましょう。

<水溶性食物繊維を多く含む食品>
・大麦、りんご、キャベツ、昆布、ひじき、わかめ、こんにゃく芋、
玉ねぎ、大根、ごぼう、にんにく、らっきょう、キウイフルーツ、
・わかめ、ほうれんう、おくら
など

不溶性食物繊維も腸内で水分を吸収して膨らみ、便のカサを増やすことで排便を促すため、
腸活にはお勧めです。
<不溶性食物繊維を多く含む食品>
切り干し大根、モロヘイヤ、かぼちゃ、えだまめ、きくらげ、しいたけなどのきのこ類、大豆、いんげんまめなどの豆類、
さつまいも、わかめ、もち麦、エビ、カニ

<オリゴ糖が豊富に含まれている食品>
オリゴ糖は糖の一種で、大腸まで届き、乳酸菌のエサとなったり、腸内の善玉菌を増やしたりする働きがあります。
糖の一種なので過剰摂取には注意しましょう。
ねぎ、ごぼう、玉ねぎ、大豆、ニンニク、バナナ、アスパラガス、きなこ、インゲン豆、はちみつ、
小豆、豆腐など。

悪玉菌のエサになりやすい食生活

悪玉菌は、脂肪分を好みます。そのため、肉や脂分の多い食生活を続けてしまうと、脂肪分をエサに悪玉菌が増殖してしまいます。
また、マーガリンやショートニングなどの「トランス脂肪酸」、保存料や着色料などの「食品添加物」、パンやパスタなどの小麦由来食品に含まれる「グルテン」も、過剰摂取すると腸内環境を悪化させる可能性が高い食品成分です。
また、お酒を飲み過ぎると悪玉菌が増えることが分かっています。
腸内環境を健康に保つために、過度な飲酒は控え他方が良いでしょう。

腸内環境を整えるには食事が何より大切です。
毎日摂るからこそ、食事内容によって、善玉菌が増えて悪玉菌が減る、逆に悪玉菌が異常に増加するなど、バランスが変化します。
腸が健康で、働きやすい環境にするためには、腸内フローラのバランスを善玉菌優勢に保つことが欠かせません。
善玉菌のエサとなる食物繊維や善玉菌そのものを含む発酵食品は、日々の食事に継続して取り入れるようにしましょう。


腸内環境を整える食事以外の方法は?

毎日の食事は腸活の基本です。
とはいえ、食生活から改善するのは難しく感じますよね。
食事の改善以外にも、毎日の生活習慣を改善することが腸内環境を整えることにも繋がります。
毎日取り入れられる4つの腸活習慣をご紹介します。

1. 質の良い睡眠

美腸と美肌には睡眠が欠かせません。
睡眠の質と腸内環境には深い関係があります。
なぜなら、睡眠ホルモンとして知られている「メラトニン」の材料となる「セロトニン」の95%が腸でつくられているからです。
腸内環境が整っていれば、セロトニンが正常に分泌され、深い眠りもとれやすくなります。
一方、腸内環境が乱れていると、セロトニンの分泌が低下し、睡眠の質も下がります。
また、腸は副交感神経が優位なときに活発になるといわれています。
副交感神経が優位になるのはぐっすりと眠っているとき。
つまり、腸を活発にするためには、質の良い睡眠が必要です。
逆に、睡眠不足がつづくと腸のぜん動運動が低下して便秘の原因となり、肌荒れを引き起こします。
美肌をつくるためには、質の良い睡眠を取ることで腸の働きを活発にすることが大切です。
質の良い睡眠をとる方法は、こちらをご覧ください。

2. 適度な運動

適度な運動も腸活に重要なポイント。
運動不足が続くと腸への刺激が少なくなり、腸の働きが低下してしまいます。
また、悪玉菌が増殖しやすくなり、腸内環境が乱れることで、肌荒れが起こりやすくなります。
30分程度の散歩をしたり、ラジオ体操、ストレッチしたりなど軽めの運動から始めてみましょう。
お腹を動かすための腹筋もおすすめです。
まずは無理なく続けられる軽い運動から始めて、腸への刺激を習慣化していきましょう。

3. リラックス

腸の運動は、副交感神経が優位なときに活発になります。
心身ともにリラックスすることで副交感神経が優位になり、腸の働きを促す効果があります。
過度なストレスは腸の働きを低下させ、腸内環境に悪影響を及ぼすので、
意識的にリラックスすることが重要です。
ぬるめの湯船にゆっくりつかったり、映画をみたり、音楽を聴いたり、軽めの運動をするなど、
リラックスした状態になれたりストレスを発散できるような快適な時間や環境を見つけましょう。
そうすることで、腸内環境も整いやすくなります。
リラックスできる状態は人によって異なるので、
自分にとってどんな時間が必要なのか、色々と試してじっくり見つけてみましょう。

4. 水分をとる

水分は、腸内環境を整える大きな味方です。
体内の水分量が少ないと便が硬くなるため、便秘が起こりやすくなります。
便秘は肌荒れの原因にもなるため、便秘を防ぐために水分を積極的に摂ることを意識しましょう。
以前ここにも書きましたが、水分は1日1.5~2リットル摂取が必要です。
一度にたくさん飲むのではなく、こまめに飲むようにしましょう。
一番効果的なのは、朝起きたタイミングでコップ1杯の水を飲むことです。
そうすることで、腸が動き出し、老廃物の排泄を助けてくれます。


お肌と腸内環境の密接な関係

冒頭でも書いた通り、「肌は腸を映す鏡」と言われるほど、今の肌状態は腸の状態そのものだと考えられています。
腸内環境が悪いと、「肌トラブル」というかたちで皮膚に表れます。

腸内の悪玉菌が増えると、有害物質が作り出されます。これが肌荒れの原因です。
悪玉菌の作り出した有害物質が増加すると、私たちの体はそれを体外に排出しようと動き始めます。
しかし便秘で出口がふさがれてしまうと、有害物質は腸壁から吸収されてしまうのです。
そして血液に溶けて、血中を通って皮膚に届くことで、肌に悪影響を及ぼします。

また、健康な肌を保つためには、肌の細胞が入れ替わるターンオーバーが正常なサイクルで行われることが重要です。
ターンオーバーを妨げて肌荒れを起こす原因は、乾燥や汚れ、睡眠不足などさまざまですが、そのなかのひとつに腸内環境の悪化があります。
腸の状態が悪くなると、善玉菌が減少して悪玉菌のはたらきが活発になり、便秘が起こりやすくなります。
実際に、便秘に悩んでいる人は、悩んでいない人よりも、にきびや吹き出物、くすみなどの肌トラブルが起こる割合が高いという調査結果が報告されています。
すなわち「腸内環境」は、肌のコンディションとも密接に関係しているのです。

12月に入り、ますます寒さが厳しくなってきた今日この頃。
冬の乾燥肌を防ぐ方法は、スキンケアしかないと思われがちですが、実は近道は腸内環境の改善なんです。
保湿が欠かせないことはもちろんですが、いくらスキンケアに手間をかけても、腸内環境が悪ければ肌に悪影響が出ます。
だからこそ、腸内環境を整えることが肌質改善につながっていくのです。
日頃の食生活や生活習慣を見直すことで、腸内環境は改善することができます。
腸内環境を健康に整えるため、あなたもまずはできることから始めてみてくださいね!

美しい肌を保つために、腸内環境を改善して身体の内側からキレイになりましょう!