運動ってなぜ大切?運動がもたらす効果とダイエットに効果的な運動法

運動とは

運動することで様々なメリットがあることは、一般に広く知られています。
そもそも人間は動物であり、他の動物と同じように「動く仕組み」がからだの中に備わっている、動く生き物なのです。
しかし便利な世の中になるにつれ、運動する機会が激減し、多くの人が運動不足になってしまっています。
運動したほうが良いということは理解をしていても、忙しい、時間がない、面倒など様々な理由で習慣化するのが難しい人も多いでしょう。
運動をした方が良いうことはなんとなくわかっていると思いますが、ではなぜ運動をしなくてはいけないのでしょうか?
そこで本記事では、「運動をすることで期待できるメリット」をご紹介。改めてメリットを把握することで、モチベーションアップに繋がり、体を動かす量が自然と増えるかもしれません!


・生活習慣病の予防

食べ物から摂取したエネルギーと運動により消費したエネルギーのバランスが保たれていて、脂肪が必要以上に蓄積されていない身体が、健康にとって良い状態です。
結果、肥満や肥満が原因となる糖尿病などの予防に繋がります。
また、運動することは、血糖値や血圧、血中脂質について、さまざまな健康効果をもたらしてくれます。
運動をするとインスリンの働きが改善され、これによって血糖値は正常化されます。
また、運動をすると善玉コレステロールが増え、悪玉コレステロールが減るので、 血管が詰まったり、固くなったりすることを防げます。つまり、動脈硬化、 狭心症、心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞等の予防効果があります。

さらに、がん予防のためにも運動は効果的です。
現代人は紫外線やストレス、喫煙、暴飲暴食など「活性酸素」が発生する環境で生活しています。
活性酸素は細胞を傷つけることで老化や動脈硬化、がんなど、多くの疾患をもたらす原因といわれています。
そんな活性酸素は身体的不活動でも高まると報告されています。

・体力や筋力、持久力がついて身体が動きやすくなる

例えば体調を崩ししばらく寝込んだ後は、疲れやすかったり、普段のように動けなかったり。ケガをしてしばらく安静にしたのち、再開するといつものように動けなかったり体力や筋力、持久力が衰えていると感じたことがあるかと思います。
人間は持っている機能を使わないと驚くようなスピードでその機能は低下していきます。
荷物を持つ時、家事をする時、階段を昇り降りする時、駅まで歩く時など、日常生活の中でも運動でついた基本的な体力や筋力があると動きやすくなります。
筋肉を鍛えることで、ちょっとした動作がスムーズになるだけでなく、美しい姿勢や、怪我の防止にも繋がります。
筋力が強くなると、同じ作業でも相対的に楽になり、疲れにくくなります。そして疲れにくくなると、日頃の活動量も増えます。

・ダイエット効果

運動することによりエネルギーを消費すると、エネルギー源とするために脂肪が分解されます。また、運動すると筋肉量が増えるので、基礎代謝量が上がります。
基礎代謝とは特に運動をしていなくても生命維持の為に消費されるエネルギーがあり、これを増やすことで1日の総消費カロリーが増え、痩せやすい身体になります。

・心の健康効果

運動をすることによって、気分が高揚したり爽快感、達成感を得られたことのある人も多いと思います。
これは、体を動かすと交感神経が活発化し、物事を前向きにとらえやすくなるからだと言われています。
運動をすると、気分が良くなるホルモンや神経伝達物質が脳から分泌されます。気持ちが高まるエンドルフィンや、幸せホルモンと言われているセロトニンやドーパミンなどが分泌されることにより、ストレス発散や精神的に安定するなどの効果をもたらし、これが疲労感の軽減や活力向上につながるとも言われています。
このように、運動は身体だけでなく、心にも良い影響を及ぼす効果がたくさんあるのです。
脳の活性化や集中力アップの効果もあるので、忙しい時こそぜひ運動してストレスを解消しましょう。

・骨が丈夫になる

運動することによって骨に負荷が加わると、骨をつくる細胞の働きが活発になり、骨密度を高めることができます。
ウォーキングや筋力トレーニングなど、骨刺激が生じる運動を行なうことが、骨粗鬆症の予防など骨の健康につながります。

・脳を活性化する

筋肉を動かす信号を送るのは脳です。つまり、体を動かすと脳に刺激を与えることができ、運動野のある前頭葉をはじめ、さまざまな領域を刺激して活性化することができます。したがって、記憶力や集中力を高めることができ、加齢によってリスクが高まるアルツハイマー型認知症を予防・改善する効果も期待できます。
また、運動することで活性化されるセロトニンには脳の状態を明晰にする働きがあり、運動中、運動後は脳が活性化されます。そのため仕事の効率や創造性を高めたいという人も、日常に運動を取り入れてみることがお勧めです。

・免疫力アップ

適度な運動をすると免疫機能が高まり、病気に対する抵抗力が増します。
これはカラダを動かすと体温が上がり血行が良くなることで全身に酸素や栄養が行きわたるためです。
ただし、過度な運動は逆に免疫の低下の原因にもなってしまいますので、無理しない程度に楽しみながら運動をするといいでしょう。

・心肺系が強くなる

運動すると、肺で酸素を取り入れる効率が高まり、エネルギーを多く生産できるようになります。また心臓も筋肉なので、大きく強くなります。さらに血管が太くなり、毛細血管も増えて血行がよくなると、酸素や栄養、老廃物等を大量に素早く目的地に運べるようになります。これにより疲れにくくなったり、風邪にかかりにくくなったりします。

・関節や筋肉が柔らかくなる

運動をすると、体の柔軟性が高まって関節や筋肉が柔らかくなり、肩こり、膝痛や腰痛などの運動疾患によるトラブルが改善する可能性が高まります。
これは、 運動により筋肉の緊張がほぐれ、血行や新陳代謝が増し、回復が促進されるからです。 人の体は動かしていないと、だんだん固くなるようにできています。

・睡眠の質が向上する

運動すると、よく眠れる―。これは多くの人が実感していることでしょう。
睡眠と運動は相関関係があり、運動には睡眠を促進する効果が、一方睡眠をとることでさらに効果的に体を動かす効果があります。
運動するとエネルギー消費を伴うものなので、それにより身体は疲労し、基本的には睡眠欲求を増大させます。
ただし、運動負荷が強すぎると、体温が上昇しすぎるだけでなく、筋肉痛やストレスなどによって中途覚醒が増えるなど、逆に睡眠の質を下げることになりかねないので、運動の強度や時間帯には注意が必要です。

・肌の状態を改善する

運動によって血流が良くなると、肌の毛細血管の隅々にまで栄養素や酸素が十分にお肌に届けられます。
さらに血行が促進されるとお肌の新陳代謝、いわゆる「ターンオーバー」も活性化します。
そして老廃物が剥がれ落ち、新しいお肌へと生まれ変わりやすくなります。
そのため、運動する機会が減少してしまうと不要な老廃物の排出が滞り、不調の原因となってしまうのです。


運動のデメリット

・活性酸素の発生

私たちの身体は、酸素を使ってエネルギーをつくり活動しています、エネルギーをつくる過程で必ず発生するのが「活性酸素」です。運動をすると日常生活より多くのエネルギーを必要とするため、産生される活性酸素も多くなります。
しかし、運動することで発生した活性酸素は、本来、適切な食事や睡眠(休養)をとっていれば、体内で除去されるといわれています。

・疲労の蓄積

過度に行うと、疲労が蓄積し、疲れが残ってしまいます。
翌日も倦怠感、疲労が続き、モチベーションも下がってしまう場合もあります。
また、長時間の有酸素運動は、脂肪だけでなく筋肉を消費してしまうため、時間のコントロールが必要です。
行う運動の内容にもよりますが、1時間以上続けて行うことは避けましょう。

・関節に負担がかかる

関節への負荷を軽減してくれるのが筋肉ですが、筋肉が衰えている運動不足の方がいきなり激しい運動を始めると、関節に負担が掛かり関節を痛める可能性が高くなります。最初はストレッチやウォーキングなど軽い運動からスタートして、2週間くらい経過を見てから筋トレや水泳、自転車などのアクティビティを開始しましょう。

他、急に過度な運動をすると、肉離れを起こしたり、筋肉痛になる場合もあります。
また、心臓に負担がかかる場合もあります。

 

適度な運動は健康に良いとされていますが、過度な運動は健康に悪く、生活習慣病の原因にさえなってしまうこともあります。
運動不足解消のためだったとしても、いきなり激しい運動を行ったり、一度に長い時間行ったりすることは危険です。
適度な運動」とは個人差がありますが、基本的には継続して楽しみながらできる範囲がその人とって 適度な運動であるといえるでしょう。


どのくらい運動したらいい?

適度な運動量ついては、一般的に、「週平均で150分(1日当たり20分程度)の運動が理想」と言われています。
150分と聞くと難しく感じる方もいるかと思いますが、まずは「息が弾み、汗をかく程度」の運動が目安と思ってください。
健康のために必要とされる運動量の目安は、個人差があります。「今より少しでも身体活動や運動習慣を増やす」という意識が大切です。
毎日楽しく続けられる運動をしていくことが大切なので、好きな運動・身体活動を習慣に取り入れていきましょう。

なお、生活習慣病の患者さんや持病のある方は、体に負荷がかかりすぎると健康を害する恐れがありますので、運動前にかかりつけ医に必ず相談してください。

運動は何から始めたらいい?

普段運動をしていない人がいきなり「週平均で150分!」と言われても、何から始めたらいいのかわからないですよね。

厚生労働省から日常生活で「今より10分、体を動かしましょう」という指針が出されています。
なんとなく10分ならできそうな気がしてきませんか?
10分多く動くということは歩数にすると、約1000歩多く歩くということになります。

たとえば
・エレベーターやエスカレーターではなく階段をつかう
・近くの距離なら歩く
・歩くときは歩幅を大きくして早歩きで歩く
・掃除や洗濯はきびきびと動く
・テレビを見ながら筋力トレーニングやストレッチをする

など、何気ないことでも歩数は増え、体を動かすことにつながります。
特に最近はリモートワークが増えたり、外出が減っている方も多いかと思いますので、できるだけ体を動かすことを心がけて、少しずつ毎日の習慣にしていけたらいいですね。


・おすすめの運動

運動には「有酸素運動」、「レジスタンス運動(筋力トレーニング)」、「柔軟運動(ストレッチ)」という3つがあります。

1.有酸素運動

有酸素運動とは、酸素を消費して脂肪や糖質を燃焼させて、それをエネルギー源とする運動を指します。
代表的なのはウォーキングやジョギング、ランニング、水泳、サイクリング、エアロビクスです。
ポイントは軽く息が弾み、汗をかく程の強度の運動です。

・有酸素運動の効果とメリット

比較的すぐに始めることができ、普段の生活に取り入れやすいのが魅力です。
酸素を取り込みながら長時間の運動をすることで、体内の脂肪と糖がエネルギーに変換され、脂肪が燃焼されます。

有酸素運動はエネルギーの消費量が大きいため、肥満や生活習慣病の予防や改善などに効果が見込めます。
また、有酸素運動では心拍数が徐々に上がり、呼吸や血流が促進されるため、呼吸器や循環器が鍛えられ、心肺機能を高める効果が期待できます。

・有酸素運動のデメリット

一方で、運動強度の低いウォーキングなどの場合、筋力アップや持久力アップにつながりにくいとも言えます。
また、必要なエネルギーが枯渇している状態で有酸素運動を行うと、カラダの筋肉を分解してエネルギーを確保するため筋肉量の減少が起こる場合があります。

 2.レジスタンス運動(筋トレ)

レジスタンス運動では、筋肉に抵抗(力)を加える動作を繰り返して行います。運動中の脂肪燃焼効果は低いものの、筋力の向上や筋肉量を増やし、持久力を高めることができます。
主なレジスタンス運動としては、自重をいかしたスクワットや腕立て伏せ、腹筋のほか、ダンベルやマシンを使ったトレーニングなどがあげられます。

・レジスタンス運動(筋力トレーニング)のメリット

筋肉を太く、大きくすることで、筋肉量の増加にもつながり、筋力や持久力を高めることができます。
筋肉量を増やすと基礎代謝量が増加し、運動していないときにも脂肪分解を高める効果が期待できます。
(筋肉1kgにつき50kcalほど基礎代謝が上がると言われています。)
また、筋肉量が多いカラダは、腰痛や膝痛などのトラブルの改善にも役立ち、老齢での転倒や骨折、寝たきりになるリスクを低減します。
さらに、日々の生活の姿勢や歩き方が良くなる方も多いです。

・レジスタンス運動(筋トレ)のデメリット

呼吸を止めてしまうほど強度の高すぎる(負荷が高すぎる)レジスタンス運動は、血圧の急上昇を招き、高血圧の人には大きなリスクにつながります。レジスタンス運動の強度設定には注意が必要です。

3.柔軟運動(ストレッチ)

ストレッチは関節を曲げ伸ばしすることで筋肉の柔軟性を高めて、関節の可動域を広げることを目的とする運動を指します。
ストレッチのポイントは、①反動をつけず、伸ばす筋肉を意識する ②伸びていると感じる部分で10秒ほど止まる ③息は止めずにゆっくり吐きながら行う などです。

・柔軟運動(ストレッチ)のメリット

ストレッチを行うと、筋肉がほぐれて血流がよくなり、カラダに酸素と栄養が届きやすくなります。
筋肉が固い状態だと、全身に張り巡らされた毛細血管が圧迫され、血液循環が悪くなります。
すると筋肉は酸素不足・栄養不足になり、疲労物質を除去できずさらに固くなってしまいます。
ストレッチにより血行が促されると、肩こりや腰痛などの改善の他、リラックス効果も期待できます。
また、筋肉や関節の柔軟性を高めると、怪我の予防や運動後の疲労回復にも役立ちます。

・柔軟運動(ストレッチ)のデメリット

普段運動をしない人やもともと身体の硬い人が急にストレッチを行うと、筋肉を痛めてしまう可能性があります。
また、反動をつけすぎると筋肉に炎症を起こしたり腱を痛めたりという怪我につながります。

 

★組み合わせることで効果が高まる!

筋トレ、有酸素運動、ストレッチを組み合わせることで、相乗効果で脂肪燃焼効率が上がると言われています。

有酸素運動は脂肪を燃焼させる効果があり、
筋トレは、筋肉量を増加させ、基礎代謝を上げる効果があります。
そしてストレッチは体の可動域を広げる効果があります。

特にダイエットをする際は、これらを全て組み合わせることは非常に効果的で、
単なる体重減少ではなく筋肉増強で痩せやすい身体を作ることができ、健康的な美しいボディラインとメリハリある身体を作れることができます。

★「筋トレ→有酸素運動」の順で

脂肪燃焼効果が高いダイエット効果を狙うには、筋トレ→有酸素運動の順番が効果的です。

これには、筋トレを行った際に分泌される成長ホルモンが関わっています。
筋トレ時に分泌される成長ホルモンやアドレナリンといったホルモン類は、基礎代謝の上昇や脂肪細胞の分解といった働きをするからです。
先に筋トレを行い、ホルモン類が分泌され脂肪を落としやすい状態にしてから、有酸素運動に切り替えることで、より効率的に脂肪が分解され有酸素運動の脂肪燃焼効果が高まるのです。

有酸素運動→筋トレだと効果はないの?

では有酸素運動を先に行った場合は効果は無いのでしょうか。
体型維持や筋肉増強が目的であれば、有酸素運動を行った後で筋トレをしても問題ありません。
有酸素運動を行うことで血流が増加するため、筋肉が温まり効率良くトレーニングできます。

ただし、息が上がるほどのジョギングを行った後での筋トレはおすすめできません。
というのも、有酸素運動のあとは筋肉エネルギーが不足している状態だからです。
筋トレは身体に高負荷をかける運動のため、エネルギー不足の状態では適切な負荷がかけられず、筋肉に適切な刺激が入りません。
また、筋トレを先に行うことで身体が動きやすくなり、ケガの回避にも繋がります。
もし先に行う場合は有酸素運動は軽めに抑えるように注意してください。
また、運動に慣れていない人はこの順番は避ける方が良いでしょう。

 

筋トレをしっかり行ってカロリーを消費した後すぐに有酸素運動を行うことで、短時間で大量の消費カロリーを稼ぐことができます。

また、運動後のクールダウンは欠かせません。
トレーニング後の身体には自分が思っている以上に疲労が蓄積しているので、ストレッチをセットで行うことをお忘れなく。


まとめ

「健康のために運動が大事」とは言っても、日ごろから運動習慣がない方は、何かのきっかけがなければなかなか実行に移すことができないのが現状でしょう。
それには、人の行動を変えていく「行動変容」が必要になるわけですから、運動することに対し、明確な目標を持つことが非常に重要になってきます。
例えば、歳を取ってもゴルフやテニスを続けたい、あるいは山登りをしてみたいなど、目標を持っていると目標達成の手段として運動を実行することができるかもしれません。

具体的な目標を立てづらい場合は、もし自分が高齢になった時のことを想像してみましょう。
スムーズに立ったり、歩いたりすることが出来なくなったら、今の自分の活動範囲や生活パターンにどのような支障が出るのしょうか。

また、「最近疲れやすくなったな。歳かな?」と感じている人は、既に運動不足により筋力、体力が衰えているかもしれません。
階段の登る時、家庭内の大型家具(たんすや冷蔵庫など)を移動する時、瓶の蓋を開ける時、ふとした瞬間に筋力の低下を感じる場面はありませんか?

日ごろから運動習慣がない方は、今の自分にどのような運動が必要かを考え、それを「どうしたら実行に移すことができるか」を検討することをオススメします。
そして、実行できたら、今度はそれを少しずつ継続していくこと。
そうすると、自分でも気づかないうちに運動が習慣になっているでしょう。

いざ定年を迎えた時に、体が弱っていては充実した人生は送れません。
若い時にはなかなか実感しづらいですが、健康な身体でいることは何よりの財産になります。
「後悔先に立たず」にならないよう、ぜひ生活の中に上手に運動を取り入れてみてください。
人生100年時代!今のうちから運動を習慣化し、健康で楽しく長生きしたいですね!!